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第122話
「………それほんとに?
遠矢君って一途だと思うけど。」
「だって実際見たし。」
「そう………。」
和田は少し考えてからこう言った。
「君はお兄さんのこと好き?」
「え?」
「僕から見て、遠矢君は君以外興味ないと思うんだ。
じゃあ、君はどうなのかなって……。」
「お、俺は別に……、
あんな変態……」
好きじゃない……。
そう言おうとしても、言えなかった。
「君は彼のこと好きだと思うからこんなに悩んでるんだよね?
だったらちゃんと彼の言葉を聞いて自分の気持を伝えないと。」
そうか、俺は兄に恋をしているのか……。
だからこんなに兄が人に取られることが嫌なんだ。
「ちゃんと話してみよ?
ほら、僕も学校まで送るからさ。」
「………先輩がそこまで言うなら。」
彼がそう言うから学校へ行ったのに
行かなければ良かったって後悔した。
だって目に映ったのは校庭で兄に抱きつく男。
その後顔を近づけながら手を握っている姿。
兄もその気が無いのならその手を振り払えばいいのにその手を離さない。
それってつまりそう言うことだろ?
結局自分は嘘をつかれたのだ。
そう思うと涙が溢れてきてその場から走って逃げた。
「あ、待って真木君!!」
和田の声がするも構わず走った。
人通りの少ない路地で止まると真木の名前を呼ぶ和田がいた。
どうやらずっと真木を追ってきたようだ。
「和田先輩……何で……。」
「ごめんね……余計なことをしたみたいで。」
「いや……先輩が悪いんじゃないし……。」
彼は俺の為に一緒に来てくれたわけで彼は悪くない。
それでも涙は止まることはなく和田が抱き締めてきた
「先輩…?」
「ごめんね……泣いていいよ。
気がすむまで泣けばいいから。」
その言葉に真木は和田の胸で泣きはらした。
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