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第123話

「落ち着いた?」 「うん……。」 いっぱい泣いてスッキリした真木は和田から離れる。 「これからどうするの?家帰る?」 どうしよう……。 正直帰りたくないし何より兄に会いたくない。 言ってしまえば声すら聞きたくない。 「ん~………取り合えず友達ん家行くかな?」 「なら僕の家来ない?」 「え?いいの?あ、でも家の人とかに迷惑じゃ…。」 「ふふっ問題ないよ。 実家から大学は遠くて今はアパート借りてるから それに真木君が来てくれたら寂しくないし。」 「じゃあ…そうする。 ありがとう先輩。」 和田の厚意で彼の住むアパートへとやって来た。 見た感じ如何にも大学生が住んでると言う感じのアパートだ。 中に入ると1LDKの部屋で青を基調としたインテリアで男の部屋にしてはお洒落だと思う。 「ごめんね狭くて適当に座ってて。 あ、飲み物は紅茶でも大丈夫かな?」 「あ、うん、大丈夫。」 真木はテーブルの前に座り部屋を見渡して一息ついた後暫くして和田が戻ってきた。 「はいどうぞ!!」 「ありがとう先輩。」 「泉でいいよ。 先輩もつけなくていい。 もうあの学校の生徒じゃないし。」 「じゃあ…い、泉さん?」 名前で呼ぶのは少し照れる。 「泉って呼び捨てでも構わないんだけど。」 「いや、流石にそれは……。」 「ふふっタメ口で話すわりにそこは気にするんだ?」 「………えっと……すいません。」 「はははっいいよ、そのままで。 真木君はその方が僕は好きだな。」 年上の人にタメ口でその方がいいなんて初めて言われた。 いつもタメ口で咎められるのに。 いや、それが普通なのだが。 この人は思ってたよりいい人だなと真木は今日初めて笑みが溢れた。

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