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第125話
「なんか……服まで買ってもらうのは悪い気がする。」
泉に買って貰った服が入った手提げ袋を見つめる真木は今更ながら罪悪感が湧いてくる。
「別に僕が好きでやってることだから気にしなくていいよ。
僕はさファッションコーディネーター目指してるんだ。だからこう言うのは楽しんでるからいいの。」
「泉さんファッションコーディネーターになりたいんだ!!」
「まぁね。」
ちゃんと将来考えてるのか……。
俺なんか何になりたいとか全く考えてないと思う真木。
「ふふっ。」
「何?」
真木を見てクスッと笑う泉に
何か可笑しかったのか分からないが優しい目つきで見つめてくる彼に首を傾げる。
「ごめん……弟に似てるなぁ~って。」
「弟いるの?」
「うん。君と同い年だよ。
生きてればね。」
生きてれば……と言うことは
もう亡くなってるのか。
「四年前に事故で……
生意気で口ごたえばかりだけど変なところで素直で優しい。
真木君とそっくりだなぁって。」
「そ、そう…なんだ……。」
こう言うときなんて言っていいのか分からない。
「ごめんねこんな話。
真木君が弟と似てるからつい……成長したらこんな感じなのかなぁってさ。」
「いや……泉さんが俺なんかに話してくれて嬉しい。」
「ありがとう。」
彼はにこっと笑い真木の頭をポンッと撫でた。
まるでその弟と接しているかのように。
ここまでいろいろやってくれるのは
きっと弟と俺を重ねているからなんだろうと考えた。
別にそれはそれで構わない。
彼が好きでやってることなら俺もそれで助かってるわけだし、と言うか既に兄の代わりになってるのだから……。
お互い兄弟の代わり……か…………
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