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第146話

「あれほんと初めてなん? なんか腹立つ。」 真木と聖はテーブルと椅子があるところに座り自販機で買った飲み物を飲みながらバットに次々とボールを当てていく玲を見ている。 すると聖は玲から目を離し真木の方に顔を向けた。 「そういや真木、玲とはどうなん?」 「何が?」 「何って、H。」 「ぶっ!!な、な、な、………」 思わぬ質問にジュースが口から吹き出ていまう。 「シとうとやろ? いや~お兄さんそう言うの気になっちゃってさ~。」 ニヤリと笑う聖が何とも厭らしい。 「や、……えっと……」 この質問にどう答えたらいいのか考える真木だが、考えたらきちんとセックスと言うものをした覚えがないなと思う。 「……まさかシとらんの?」 図星をつかれ汗が流れる。 「…………か、関係ないだろ。」 「じゃ、どうせならこのあとホテルにでも行って3Pで初体け…ぶぎゃっ!!」 聖が最後まで言い終わる前に後ろから玲にバットでどつかれた。 「ちょ、何するんだよ。」 「テメーこそ真木に何の話をしてんだ?あ゙?」 た、助かった。 流石兄、こう言うときは頼りになる。 「俺と真木が何しようがお前に話す筋合いはないしお前とどうなるつもりも微塵もない。」 「ちっ、ケチ。」 ケチで結構と玲は一言放つと自販機へ向かい飲み物を買いに行った。 そしてこちらへ戻ってきた玲は真木の隣に座りさらりとこう呟いた。 「案外これ簡単に打てるもんだな。 120キロ行ける気がする。」 「…………」 やっぱりムカつく!! 運動神経以外取り柄のない俺でさえ最初かすった程度しか無理だったぞ!! と真木は腹の中がモヤモヤと渦が巻く。 結局俺は天才な兄には一生勝てることは無いのかと真木の小さなため息がカキーンとバットにボールが当たる音と共に空しく消えた。

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