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第160話
「遠矢……やっと見つけた。」
彼はMasqueradeから出てきた真木をじっと物陰から覗いていた。
ずっと真木へ想いを寄せていたのだが、当の真木はというと彼の想いなど全く気付くこともなくあまつさえ真木は彼と二人きりで遊ぶとこはなくいつも誰かを誘っていたのだから想いを伝えることも出来なかった。
更には親からは見放され、祖父の所有するマンションへ追い出され現在は独り暮らし。
近くの高校に入ったがほとんど出席はしていない。
真木とは高校で離れ1度も連絡を取ることは無かった。
1つは親に携帯を取り上げられた事と、真木を好きと言っても自分が問題をよく起こし警察沙汰になることもあるが故に真木とは離れていた方が彼は安全だろうと思ったからだ。
高校からは他校の生徒ともつるむようになり、その一人が真木と同じ学校だったのだと知った
しかも3年になって退学したのだとか……。
彼は怪我を負っており退院してまだ完治していないらしい。
この人はなんでもベラベラと喋ってしまう人で
どうでもいいことでも上機嫌に話していた。
そんな中聞いたトウヤ マキの名前。
衝撃だった。
生意気で気に食わないから今度こそぶっ殺すと意気込んでいた。
それ以降は覚えていない。
ただそいつを殴り付けてたのは覚えてる。
気が付けば相手は地面にうずくまっており、誰かが警察を呼んだのか遠くからサイレンの音が聴こえその場から逃げた。
その後久々にMasqueradeに寄った。
遠矢がいるかもしれないと……
しかし最近は来なくなりいつ会えるかも分からない状況だった。
その時思った。
「遠矢を自分の傍に置いとくべきだった。」
そうすればあんなクソ野郎に目をつけられる事もなかった。
自分が守らなければいけないのだと。
「好きだよ遠矢
これからは俺が守るから……。」
兄と二人歩いていくのを不気味な笑みを浮かべながら五十嵐はずっと見つめていた。
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