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第163話

授業が終わった放課後。 蓮条に遊びに誘われる。 「なぁ、どっか行かね?」 「ん~悪い兄ちゃん待ってるから。」 「そっか…じゃ、また今度。」 「ああ。」 兄との約束通り下駄箱の所で待っていると兄ちゃんが少し遅れてやって来た。 「悪い待ったか?」 「いや?」 「そうか、じゃあ帰るか。」 この日は何事もなく家に帰った。 数日間一緒に帰っても特に変わった様子は無かった為、もう別に遊んで帰ってもよくね?と真木は思い始めたのだが兄は心配だからと聞き入れてはくれなかった。 そんなある日、授業が終わったばかりの休み時間に教壇に立つ担任に呼ばれた。 「なんスか?」 「お前、冬休みの宿題が全部正解なのはなんでだ?」 「勘弁してよ先生俺の字じゃん。」 「そうだな、確かにこの汚ない字はお前のだな。 まぁどうせ終わらない宿題の答えを兄貴に教えてもらったのだろう?」 「てへっ!!」 「お前今日補習な。」 「マジか………」 可愛く舌を出して許してもらおうなんて都合のいい事にはならず罰として補習が決定してしまった。 その旨を兄に伝えると校庭で待ってると言った。 悪いから先帰ってていいと言っても心配性な兄は頑なにそれを拒否した。 どれだけブラコンなんだか……… 補習が終わる頃には日も暮れてきていた。 急いで兄が待ってるという校門へ向かった。 靴を履いて学校の外へ出たその時だった。 「遠矢。」 自分を呼ぶ声がし、その方へ目を向けるとそこには五十嵐がいた。 「なん…で……」 まさか学校の中に入ってくるなんて予想外で かなり焦った。 彼は此方に近づいてきて俺は咄嗟に後退るが それに構わず真木へと詰め寄る。 彼の目は以前とは違い真木をみているはずなのに何処をみているのか分からないような目をしていた。 ヤバい……こいつ完全にイッてる目してやがる!! 兄ちゃんどうしよう……… そう、逃げようと思うが既に遅かった。

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