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第165話

「ん………」 目が覚めた真木の眼前には天井が映る。 周りを見渡すと自分は何処かの部屋のベッドに寝ていたのが確認出来た。 状況が飲み込めずまだ冴えない頭で思考をフル回転させる。 確か五十嵐が学校来てそれで腹殴られて気を失って、それから……… ゆっくりと起き上がるとジャランと音がした。 それに左足に何か違和感がある。 恐る恐る見てみると左足に鎖がはめられておりベッドと繋がれていた。 「は?何これ……意味わかんねぇんだけど。」 どうにか外そうとするが人の力ではどうにもならずジャラジャラと言う音だけが虚しく響く。 その音に気が付いたのかドアが開き五十嵐が入ってきた。 「五十嵐!!テメー何しやがる!!」 「悪いけど、お前を守る為だよ。 そのためにお前の所に行くのに少し時間かかったけど。」 「は?何言って……」 すると五十嵐が俺の上に覆い被さってきた。 「だってあいつ、お前を殺すって言うから。」 「何の話……?」 「お前ん所の学校の先輩。 何かやらかしたんだろ?」 もしかして退学になったあと3年か? 何故そのことを知っているのか? 「なんで……。」 「知りたい?」 そう聞かれ真木は頷いた。 すると聞かされたのは五十嵐がその3年とつるんでたこと、そいつが真木の事を腹いせに殺すと発言し、そしてその3年を五十嵐が殴ったこと。 「俺思ったんだ、お前をずっと好きで傍にいたのに高校で離れたらこの様だ。 だからこれからはお前を誰の目にも触れさせない所で傍に置いとけばいいんだってさ。 でも、お前繋いどかないと逃げるだろ? それは困るからさ。」 「お前……イカれてる。」 「何とでも。 お前が好きだから何言われても嬉しいよ。 それより腹へっただろ?何か持ってくるよ。」 ようやく真木の上から退いて部屋を出ていった。 どうにか助けを呼びたいが窓には板が貼ってあって外の様子は窺えない。 この部屋には時計もない。 自分がどこにいるのかも今の日付けすら分からない。 兄に連絡しようにも携帯もない。 これから一体どうすればいい?

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