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第167話
真木を助けてもらう代わりにその代償を要求してくる純。
「それで望みは何です?」
「じゃあ、貴方の身体を頂戴?」
「…………」
全く嫌な要求をしてくると玲は嫌悪感に顔を歪める。
「別にずっとなんて言わないから。」
「………分かりました。
それで真木が助かるのなら。」
真木が無事戻ってくるのならこの身体をくれてやるくらい安いものだ。
「取り引き成立ね。
早速真木ちゃんの行方を調べることにしましょうか。」
彼はすぐに何処かに電話をかけはじめ奥の部屋へと消えて行き、暫くして戻ってきた。
「今、真木ちゃんを探して貰うよう頼んだわ。」
「…誰にです?」
流石に警察へは言わないだろうが一体誰に依頼したんだ?
色々勘ぐっていると彼は不適に笑みを浮かべた。
「あたしが拾った子でね、
情報収集の得意な子とか兎に角人を追い込むのが得意な子とか色んな子がいるのよ。」
「…………」
この人って一体………
「そう言う事だから安心しなさい。
必ず見つかるから。
だから、もう家に帰りなさい。」
「え?報酬は?俺まだ何も……」
「……そんなの真木ちゃんが帰ってきた後に決まってるでしょ。
それに貴方、自分が今どんな顔してるか分かる?」
俺の今の顔……?
「そんな疲れきった顔して真木君が戻ってきても逆に心配させるだけよ。
今はゆっくり休みなさい。
報酬はそれからでいいわ。」
確かに今までに無く疲れてるかもしれない。
いつもならどんなに疲れてても真木に心配させたくないから平静を装うようにしていた。
その内に自分の感情を隠すのが上手くなったと自負しているが、人に指摘されるほどなのならば自分は相当参っているんだろう。
「すみません、お言葉に甘えて今日は失礼します。」
「龍臣、送って行ってあげなさい。」
「はーい。」
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