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第172話

この頃、純達が動き出したことを知らない五十嵐は真木が抵抗しないと信じているのか分からないが鎖は外していた。 部屋のドアには鍵つけられてるが。 そして今は何故か真木が五十嵐に膝枕をしている。 目を瞑って真木の服をモジモジと弄っている。 この数日ずっとこうだ。 「……………」 なんかこんな五十嵐見てたらどうも調子が狂ってしまう。 「遠矢。」 「ん?」 「好きだ……」 「…………っ」 いくら好意寄せられてもそれには応えられない。 でも彼を突き放す事も出来ない。 さてどうしたものか…? 「俺、中学ん時から親からも見放されて寂しかったんだ。 でもお前は俺と居てくれた。 だからずっと傍に居てほしい。」 「五十嵐……。」 そんなことを言われても正直困る。 第一自分が好きなのは兄である玲だ。 そんなことを思っているとバンと大きな音がした。 驚いた五十嵐が音がした玄関へ向かい真木も釣られて部屋を出るとそこには純や兄達の姿があった。 「え、なんで………?」 突然家に入ってきた彼らに五十嵐も唖然としていて酷く動揺している。 「真木無事か!?」 「に、兄ちゃん……!!」 すると五十嵐は俯いたかと思うと徐に顔を上げあの時と同じ目付きへと変わり純を睨み付ける 。 「てめぇなんでここにいる!? 今すぐ出ていけ!!ぶっ殺すぞ!!」 そう言うと五十嵐は純に殴りかかろうと襲いかかった。 だがそんな五十嵐の拳を純は片手でいとも簡単に受け止め流れるような動きで床に押し倒しひれ伏せさせ彼の背中にのし掛かる。 「クソッ離せ!!」 「全く世話の焼ける子ね。 アンタいい加減にしないと社会から見放されるわよ。 一体今までどのくらい使ったのかしら?」 「純さん何の話し?」 真木が何の話しかと聞くと純から返ってきた言葉は驚くべきものだった。

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