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第173話

「この子ね、ヤクやってんのよ。」 「え?」 純によると五十嵐は違法な薬物に手を出していると言うから驚いた。 でも、あの異常な目を見たら納得出来る。 「てめぇには関係ねぇだろ!? 大体なんで知ってる?」 「そりゃ家の可愛い子達が真木ちゃんの行方を調べてくれた時ついでにその事も突き止めてくれたから。 ここの鍵も龍臣が開けてくれたのよ? さて、どうしましょうか? このまま貴方を警察に突き出すことも出来るけど。」 「__っ!!」 警察…… 確かに五十嵐のしたことは警察に捕まって当然なのだけど。 「じ、純さん!!あの……今回だけ見逃してやってくんない…かな………?」 「は?」 真木の言葉に皆何言ってるんだって顔をした。 真木の為に動いてくれたのにこの期に及んで五十嵐を庇うような発言をしたのだから当然の反応なのだが。 「……何故? 貴方だって許せないでしょ? こんなことされて。」 「で、でも…………」 『寂しかった。』 あんな言葉聞かされた後だとどうしても憎むことも出来ない。 きっと寂しさを紛らわす為に薬物に手を出してしまったんだろうし。 「はぁ……分かったわ。 真木ちゃんがそう言うんなら一度だけチャンスをあげるわ。 貴方はどうなの?」 純は呆れながらも真木の言うことを尊重してくれた。 「……………」 だが五十嵐は戸惑ったように無言になる。 「まぁ、いいわ。 取り敢えず真木ちゃんは返してもらうわ。 それとまた後日色々と話したいからまた来るわね。」 純はそれだけを五十嵐に言い残し俺の腕を掴みマンションの外へと出る。 そして兄が真木を抱き締めてくる。 「真木……良かった……。」 「……うん。ごめん……… 純さんも皆も迷惑かけてごめんなさい ありがとう。」 「貴方が無事だったのならそれでいいわ。 報酬も頂くことだし。」 「報酬?」 真木が報酬って何?と訊ねるも何でもないわと純に濁されたが深くは聞かなかった。

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