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第185話
「玲、着いた。
さっさと起きて。」
「ん……?」
バスの中で熟睡していた玲は篝に冷たく起こされあくびをしながらバスから降りる。
「遠矢君、寝不足?」
そんな中で話し掛けてきたのはまた高野だった。
「別に……」
「そんなこと言って凄い眠そうだよ?
ほら、私が支えてあげる。」
そう言って高野は腕に手を絡めてきた。
あまりケバケバしてなくてそれでいて美人。
積極的に話しかけてきてそれから上目使いでこちらを見て来るところがまたあざとい。
普通なら男はこう言うのに落とされるのだろうが生憎玲はこう言う計算的な女が苦手だ。
残念ながらこの女に全く魅力を感じない。
俺が魅力を感じるのは真木だけだと玲はまた真木に想いを馳せる。
「あのさ、離してくれる?
歩きにくいし。」
「え~いいじゃない。
この方が温かいもの。」
「……………」
ウザい!!
けど振り払うのも面倒だし体力のムダだと思いそのまま行くことにした。
「わぁ~すご~い‼
ね、遠矢君!?」
「…そうだな。」
大自然が広がるそこはほんとに綺麗だ。
玲も思わず見とれてしまう。
けれどやはり真木がいないせいかあまり楽しめない。
このあとは昼食でバイキングだ。
皿を取って玲がトングを手に取ろうとすると先を越される。
「はい。」
「え?」
先にトングを手に取った相手は高野で彼女が玲の皿に料理を乗せてくる。
「何なのお前?」
「ん?私はただ遠矢の為に何でもしたいだけ。」
「あっそ……」
あからさまな好意にウザいと思いつつも寝不足のせいか、何も言う気も起こらずそもままにしておくことにした。
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