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第3話
食事を終えると紫薫さんは執筆の続きがあるからと席を立った。
俺も続くように席を立ち、食堂をあとにした。
そして自室に戻り、上着を羽織る。
抑制剤が切れかかっていたので馴染みの店に買いに行くことにした。
顔から身元が判明され、藤堂家からΩ専門店へ向かったとバレては困るので帽子を深くかぶった。
Ω専門店の場所を知っているαやβは少ないとは思うのだが、念のためだ。
自室を出てから使用人の一人である栗栖(クルス)さんを探した。
彼は俺と同じΩで、ほとんど専属で世話をしてくれる。
外出をする時は彼に報告しなくてはならない。
置き手紙でも良いとは聞いたけど、それは不便だと思い毎回直接言いに行っている。
廊下に自分ほどではないが少し小柄で綺麗な短髪の黒髪が見えた。
用件を伝えれば了解致しました、とだけ発せられた。
いつも通りだなー…。
最後に行ってきますといえば、栗栖さんはチラとこちらを見てからまたすぐに仕事にとりかかった。
淡々とした会話。
もう慣れたものだけど、同じΩ同士仲良くしたいっていうのは俺だけかな…
この家を出てしまったらそれももう叶わないのだろうけど。
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