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第16話
5年前と同じ光景。
「紫薫さん、俺はあなたに救われたんです」
「結糸…」
「今でもずっと貴方の言葉が俺を支えてくれてます」
言わないって決めてた。
そばにいるだけで幸せだと。
Ωの俺がなんて、烏滸(オコガ)がましいと。
けど、その先を望んでしまう。
好きです紫薫さん
「俺は貴方を愛しています」
幸せだと思った。
家に背いて、それでも想いを伝えられた。
これがたとえ届かなくても俺は、
届かなくても。
「好きです…紫薫さんっ……ひっ…うぅ……貴方が、好きなんです、愛しています…っ」
とめどない想いと涙。
伝え方なんて分からないけどけど、届いて欲しい。
最初で最後の我侭を、聞いて。
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