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苦痛
再び鳴り響く龍空からの電話を無視して、俺は使い慣れた布団を畳む。
……くそっ、コール音がしつこい。
「いい加減にしろ!」
俺は耐えかねて、着信音を鳴らし続けるケータイの電源を落とした。……静寂が部屋を支配した頃に俺を襲うのは……訳の分からない、そして理解したくも無い寂しさ。
外界との、そして龍空との繋がりを絶ってしまったかのような孤独感。……無視しようとして階下に降りる。
……。
ああ駄目だ。
俺は部屋に戻って、ケータイを立ち上げる。
そしてそれを尻のポケットにねじ込んで溜息を吐いた。……複雑だ。安心する。
──ぴりりりりり……。
示し合わせたかのように、また龍空からの着信を告げる俺のケータイ。
忌々しくも嬉しい……という矛盾した考えで俺はそれを取ることにした。
「いい加減にしろ……まだ8時にもなっていないだろうが」
『あっ、やっと出たあ! レイト遊ぼうぜ! それか勉強会!!』
小さく溜息。
「俺の話は聞こえていなかったのか……8時にかけ直せ」
ぶつっ、とまた通話をぶつ切りにしてポケットにしまい直す。
……まったく龍空はしつこい。そこに安心しているというのなら、俺はとことん異常な人間だ。経験的にも精神的にも。
……コール音は、もう無い。
龍空はやはり掴めないな……あんなにもしつこくするくせして、俺がハッキリと拒否すると許可したタイミングまで何もしてこない。
……その距離が心地良い、だなんて俺は思っていない。ただタイミングが俺にあっていて、付き合いやすいとだけ。
本当に、それだけだ。
だから、俺は龍空に心を許すつもりは……ない。
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