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プロローグ2

(みつる)と別れてから、ふらふらと色んな居酒屋やバーへ足を運んだ。頭がぐらぐらしてももう何を飲んだかも分からなくなっても、今日ぐらい神様だって許してくれるさ…。 「…飛びっきり強いやつ…。」 何軒目か分からないが、古ぼけたバーのカウンターでぐったりとしながらまだ若そうなマスターへ投げやりに注文した。 「…お客様?…お客様!!」 五月蝿い…。黙ってお酒を出してくれれば良い。 「…したか?」 「…でして…様?!」 あっ…何だかふわふわ心地良いな…。 それに懐かしい…この甘ったるい香り…。 そのまま僕は意識を手放した。 --------------------- 「…ゔっ…、いっ…たい…。」 ガンガンする強い痛みに目を覚ました。 昨日(みつる)と別れてからの記憶がさっぱりない。…飲み過ぎた、酷く気持ち悪い。 「ここ…何処だ?」 痛む頭を押さえながら、見知らぬ部屋を見渡す。ベッド側にある窓へゆっくりと近寄り、窓からの景色を見ても此処が何処か全くわからない。 ふと足元から覗く自身を凝視しては、やっとそこで自分が何も服を着ていない事に気が付いた。ベッドへ目を戻しては、散乱とした衣類にギョッと目を見開く。今までこんな酷い酔い方をしなかった。せめて下着は履かなければ、そんな事を考え始めた時…。 「…気分はどうだ?」 「…(みつる)…?!」 そこには普段と違う雰囲気を纏った親友の姿があった。 「(みつる)?…誰だそれは。」 「…酔っているのか?自分の名前がわからないくらいに。」 いつの間にか目の前にいる親友。昨日の柔らかな笑みはなく、冷めた眼差し。 「…誰かと間違えているみたいだな、あんた。」 良く見ると親友にはない口元にあるホクロ。 親友と瓜二つな見知らぬ男だった。

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