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光る君と呼ばれて 2
「光る君…久しぶりの再会だ。今宵は父と寝所を共にしよう」
私のことを憧れに満ちた眼で見つめる光る君に、優しさを装った声をかけてやる。
「えっ!本当に?帝であられるお父上と一緒に眠れるなんて信じられません。あの…とても嬉しいです」
母が早くに亡くなったせいで、愛情に飢えているのだろう。
15歳という年齢にしては幼く、純粋に添い寝してもらえると信じて疑わない…穢れなきあどけない顔が憎い。
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「さぁ父の傍へおいで」
元服したての初々しく切り揃えた漆黒の黒髪を、肩に降ろした姿は可憐でいじらしい。
なによりこの顔だ。女と見紛う美しさと品格を兼ね備えている。
誠に見事に成長したものだ。
「はい…」
白い寝衣になった洋月の君が、御簾の向こうから静かに寝所に入ってくる。
ここは人払いをさせてある。女官も近づかない二人だけの空間だ。
「洋月、お前はもう女子 を抱いたのか?」
「えっ!何故そのようなことを」
「抱いたのか?」
もう一度尋ねると顔を赤らめ、俯いたまま首を静かに横に振る。
「っふ…初心だな。そうか、まだか…」
「父上…そのようなこと恥ずかしいです」
「おいで、父が教えてあげよう」
「…? あの…何をでしょうか」
不思議そうな表情を浮かべる洋月 の細い手首をぐいと掴んで胸元に抱く。
「父上?」
不思議そうに見上げる桜色の唇をいきなり奪って接吻する。
「んんっ…」
驚きで目を見開いたまま動作が固まっている洋月の肩を抱くと、その白い衣の袷から手を差し込み、小さなまだ蕾のような突起、そこを弄ってやる。
「ひっ」
洋月はその薄い肩を震わせ、全身には鳥肌を立てていた。
「おやめください!父上!お戯れを!なぜこのようなことを?」
「洋月に、男女の営みの仕方を教えてやるのが父の務めだからだ」
「男女って…私と父上は男同士でございます!どうかこのようなことはおやめください」
「っふ…お前は本当に幼いな。男同士でも出来るのだよ。それは雅なものだ。父である私がお前にすべて教えてやるから、お前は大人しくしていればよい」
「そっそんな」
逃げ出そうと後ずさる洋月のまだ少年のか細い躰を押し倒し、跨いで抑え込み、白い肩を露わにしていく。
「やめてください!何故?父上なのに…こんなこと…」
納得できない、受け入れられないことを蒼白の表情で必死に拒んでいる洋月の姿は痛々しく、月明かりが差し込む清涼殿の夜御殿 に儚げに浮かび上がっていた。
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