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第34話

 声をあげるのと同時に櫻井は体重をかけてきて、優弦はシーツの上にゆっくりと倒された。耳を舐め、柔らかく咥えながら、櫻井の大きな手のひらが優弦の胸を優しく這う。首すじから鎖骨まで舌が湿った軌跡を描き、優弦の胸や腹を何度も撫でていた手が左の乳首を摘まんだ。 「……ん、……ふ」  つん、と左胸が尖るのがわかる。櫻井がそのしこりを指で摘まんで擦り始めた。 「ぁ……、んん」  声を殺してギュッと目をつむる。眉間に皺を寄せて胸から生まれる疼きを感じていると、その様子を見た櫻井が声をかけてきた。 「優弦、気持ちよくない? それとも声、我慢している?」  問いかけられて、うっすらと目を開けた。目の前には自分の顔を覗き込む櫻井の顔。 「……恥ずか、しくて……」  櫻井の視線が自分の体の線に沿って動いている。しばらく、じっくりと優弦の半裸を眺めた櫻井が感嘆のため息をついた。 「想像以上だ。あの制服の下にこんなに素晴らしい体を隠していたんだね」  櫻井のあまりの持ち上げように、 「想像……、していたんですか?」 「ああ。でも、この肌の白さといい、吸いつくような柔らかさといい、思っていたのとまったく違う。本当に綺麗だ。この体を今から抱くなんて、少し緊張する」  賞賛を隠さない櫻井に優弦はどこかに隠れたくなる。枕の上で顔を逸らし、頬を赤く染めた優弦にひとつキスをすると、櫻井は優弦に跨がったまま、着ていたシャツを乱暴に脱ぎ捨てた。  そこに現れた上半身に優弦は息を呑む。しっかりとした首から続く肩は程よく盛り上がって、陽に焼けた肌は天井からの灯りに反射して艶やかだ。息をするたび鍛えた胸筋が上下して腹は無駄なく割れている。いつもスマートに高級スーツを身に纏っている彼の姿からは、予想もつかなかった頑健な上半身だった。 「……櫻井さんも、想像以上ですよ」  一瞬、場が静かになったが、すぐに櫻井の含み笑いが聞こえてきた。本当に君は、と櫻井が優弦の唇に噛みついた。それを優弦も口を開けて受け入れる。互いの歯列を舐め、唾液を啜り合う頃には優弦は履いていたジーンズも脱がされて、一糸纏わぬ姿を櫻井の前に晒していた。 「嬉しいな、期待してくれているんだね」  引き抜いたジーンズを放り投げながら、現れた優弦の花茎を見つめて櫻井が囁いた。胸や腹、そして太腿を優しく撫で、その軌跡の温もりが肌の奥へと浸透すると、優弦の中心へと集まってさらに熱を帯び、甘い痺れを生んだ。  太腿を撫でていた手がゆっくりと優弦の性器を握りこむ。その締めつけに、すでに硬く勃ち上がった花茎の先から、ぷつりと透明な蜜が滲み出る。櫻井は右手を伸ばして今度は優弦の右の乳首を捏ねながら、花茎の根元の柔らかな下生えに鼻を押しつけて大きく息を吸い込んだ。 「このボディソープ、本当に良い匂いだ。いや、優弦自身の肌の匂いが混ざって余計に香りが深くなっているんだね」  幹に湿った感触がある。それが櫻井の舌だとわかった途端、優弦の後蕾がひくんとわなないた。 「はっ……、さ、くらい、さん……。ああっ……」  櫻井の舌が優弦の花茎を丹念に舐めている。根元から幹を登り、くびれに沿って舌先を滑らせて鈴口に溢れた甘露を吸い上げられた。 「あっ! ……はああっ……」 「……甘いよ優弦」  囁かれるたびに櫻井の吐息で茂みが小さく揺らぐ。櫻井の唇が、自分の股間を含んでいると思うだけで優弦は羞恥に悶えてしまった。卑猥な音を立てていた櫻井の口が花茎を離し、今度は包み込んだ手できつめに扱かれる。その直接的な刺激は、あっという間に優弦を快感の頂点へと押し上げた。 「ああっ! 櫻井さんっ! ……あっあっ」  ぐう、と果実が収縮し、花茎の先へとせり上がってくるものがある。ところがそこで櫻井の手の動きが止まってしまった。もうすぐ届きそうだった快感の頂きから放り出されて、優弦は恨めしげに櫻井を視線を向けた。無言の抗議を櫻井は悠然と受け止めると、細い腰を掴んで優弦の体を軽々とうつ伏せにした。 「なにをっ……」  つ、と優弦の窄まりに指が這わされた。用意していた潤滑液を塗りつけるようにしてゆっくりと後蕾の入り口を撫で、そして優弦の内腔へと櫻井の指が入り込んできた。 「は……ふぅ……」 「思ったよりも柔らかいな……。すぐに抱きあえるように準備をしてくれたのか。本当に優弦はかわいいことをしてくれる」

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