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 初めての深夜勤務は、夕方の勤務よりもお客さんも少ない。基本的には品出し、清掃、廃棄などメインで意外とやる事が多い。  店長と二人きりだったので少し緊張したが、気さくなおじさんなのでそこまで気後れせずにすんだ。  早朝6時に朝勤務の人と交代をすると、やっと終わったと心の中で伸びをする。 「矢崎君。また、今晩もお願いね。夜勤足りなくて困ってたから助かるよ」  バックヤードで着替えをしていた僕に、店長が目の下にクマを携え朗らかに言ってきた。  店長は今夜も帰らないのだろうか‥‥‥。労働基準法、労働基準法と騒がれているわりには、本社からなんのフォローもしないのはおかし過ぎる。  来年から始まる就活の際は、よく吟味しようと僕は心の中で決意した。 「はい。春休み中は入らせていただきます」  そう言い残して、僕はお店を後にする。  早朝の空気は澄んでいて、日の光もキラキラ輝いて見えた。  寒い事には変わりないが、初めての事と相まって清々しい気分になる。  ふと、スマホが震え画面に目をやる。稔さんからのメールで『仕事お疲れ様。初めての夜勤はどうだった?』と送られてきた。  あれっ、バイトの話したっけなーと疑問を感じるも襲いかかる睡魔で、まぁいいやと思考が閉ざされる。  一昨日会って以来、毎日のようにメールが来る。さすがに、向こうも勤務中は基本的に送ってこないようで、気になるほどのこともない。  優しくて、マメでイケメンとはやはり女子ウケがいいだろうなと再び思ってしまう。

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