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「大丈夫だよ。お邪魔させてもらう側なんだから、ちゃんと持ってきてるよ」  口に合うか分からないけどねと、爽やかに微笑む。  やっぱり気遣いが出来る稔さんは大人だなーと、成人してる筈の僕は感心してしまう。  ビニール袋をテーブルに置き、稔さんからコートと上着を預かる。  稔さんが袋から酎ハイや缶ビール、小ワインまで取り出す。 「成人してるんだよね? どれでも好きなのでいいよ」 「あっ、僕お酒弱いんであまり強くない方がいいです」  あまり飲みすぎて迷惑かけるのは良くないと、僕は遠慮がちに申し出る。 「そうだったんだ‥‥‥ごめんね」  稔さんが少し残念そうな顔で微笑む。僕は焦って「飲めないわけじゃないので」と酎ハイを手に取る。 「あんまり、無理しないでね」  稔さんが僕の手から酎ハイを受け取ると、テーブルに戻す。 「ごめん。小皿もらえるかな?」  お惣菜を手にした稔さんが、申し訳なさそうに僕を見る。  僕は急いで、台所に行き、棚から小皿や箸を取り出す。 「ごめんね。動かしちゃって」 「いえ、気が利かなくてすみません」  準備が整い、僕はテーブルとベッドの間に腰を下ろし、稔さんは入り口側に腰を下ろした。 「じゃ あ、乾杯しようか」  そう言ってお互いに缶をぶつけ合う。  稔さんは実にいい飲みっぷりで、ビールを一気に飲み干す。僕もつられて、口をつける。  久々に飲むお酒はほろ苦く、すごく美味しいとは言えないけれど、雰囲気を楽しみたくて何度も口に運んでしまう。  稔さんの話も面白く、夢中になって耳を傾ける。特に警察学校時代の話は、僕には新鮮で見た事ない世界だった。

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