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僕はやっと使命を果たせると、自宅に帰る途中にあるコンビニでお酒とおつまみを買う。
もちろん、自分のバイト先ではない。売り上げに貢献したい気持ちもあったけど、由梨ちゃんに見つかりでもしたら面倒だった。
「ありがとね」と言ってさりげなく、稔さんが荷物を持ってくれる。そういう気配りが出来るって凄いなと、僕は感心ばかりしてしまう。
街灯がポツポツとあるだけの道を、二人で並んで歩いていると別世界に来たように感じ、心が弾んでしまう。
一人で歩く家までの距離と、二人で歩く家までの距離は変わらないはずなのに、あっという間に着いてしまう。
見慣れた交番が見えて、中で誰かが書き物をしているのが分かる。
「バレたら大変じゃないですか?」
僕は視線を交番の中に向けながら問いかける。
職場の人に問い詰められたりしないだろうかと、僕は不安になってしまう。
「別に問題ないよ。非番だから」
稔さんが優しく微笑み、アパートに進路を変えた。
僕はチラチラと交番の方を見ながら階段を登り、一番奥の自分の部屋へと二人で入って行く。
「乾杯しようか」
稔さんが姿勢を正すと、僕と向き合い二人で缶を軽く掲げる。
前回の失敗があったので、僕はオレンジジュースにした。稔さんはビールを飲んでいて、美味しそうに一気に飲み干す。
「実はね」
稔さんが唐突に切り出し、一瞬部屋が緊張感に満たされる。伏し目がちに缶ビールを握りしめているところを見ると、なんだか深刻なことのように思えてならない。
「玲くんに聞きたいことがあるんだ」
僕は不安で動悸が早くなり、喉が詰まったように感じる。
稔さんが僕の隣にずれると、そっと僕の手を握った。手がとても冷たく、微かに震えている。僕も緊張していて掌に汗が滲んでいた。
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