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 数日後には、引っ越しの日取りが決まり、僕は将希をアパートに呼び出した。今日で、このアパートで将希と過ごすのも最後になる。  稔さんと暮らすとなると、将希と二人で会うのも少なくなるだろう。  僕はそれが心苦しい。六年間も親友として一緒にいたのだ。恋を取るか友情を取るか、水掛け論のような問いに、僕はある意味恋を取ってしまったのだ。  両親はまた引越しをするのかと怒っていたが、警察官の知り合いと住むと言うと、何故か納得してくれた。  僕の今までの事を考えると、警察官なら何かあっても大丈夫だろうと思ったのかもしれない。  引越しを自分で全部するのを条件に、納得して貰った。  アパートの解約はまだ日にちが残っているが、稔さんの要望に応えて、先に僕だけ移り住むことにした。  将希が部屋にやって来ると、なんだか切ない気持ちで出迎える。  将希はいつも通りベッドに腰かけた。 「そっか。行っちゃうんだな」  将希がしみじみとした口調で呟く。 「ごめん」  僕は居た堪れなくなり、将希の隣に腰掛ける。 「ーーなぁ、本当に行っちゃうのか?」  少し低温な声に僕は思わず顔を上げる。  将希の表情は酷く冷たく、僕は驚いて呆然とする。 「俺の気持ちに気づかなかったくせに、簡単に他の男には揺らぐんだな」  今までにない冷たい口調に、僕は背筋が凍りついてしまう。 「ま、まさき‥‥‥?」  僕は声が掠れて震えていた。全身から血の気が引き、今まで見たこともない親友に戸惑う。 「なんで俺が今までお前を守ってきたか分かるか? 気持ちを伝えたくても、お前は俺の口を塞いだ。どれだけ傷ついたか分かるか?」  淡々とした口調の将希に、僕は恐ろしくなる。 「たったの何日間かしかあってない男に、お前は抱かれて‥‥‥何ヶ月も付き合ってない男と、お前は一緒に住むんだな」  いつもみたいに、怒ってたり呆れている感じではない。それよりもずっと、暗澹とした空気が流れている。僕は金縛りにあったように、体が動かなくなってしまった。 「俺とはずっと何年もいたじゃん。なんであいつなの? 俺の方があいつよりずっと、玲の事知ってるよ」  将希の顔が青ざめている。僕は何も言い返すことが出来ない。考えようとすればするほど、頭が真っ白になる。 「ねぇ、試してみる?」

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