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 講義が終わり、久々にバイト先に顔を出した僕に店長は「もう大丈夫なの?」と驚いた顔をした。  相変わらず、目元のクマがそのまま残っていて僕は居た堪れない気持ちがこみ上げてくる。 「はい。ご迷惑をおかけしました」 「大丈夫だよ。ムリしないようにね」  店長が優しく微笑みかけてくれる。 「おはようございまーす」  バックヤードの扉を開けながら由梨ちゃんが入ってくる。  僕の顔を見るなり、目を見開き「大丈夫なんですか?」と駆け寄ってくる。 「ごめんね。心配かけて」  僕はみんなに迷惑かけてきたんだなと、胸が押しつぶされそうになる。 「しょうがないですよ。あっ! そんなことより、矢崎さん。イケメン警察官と知り合いなんですか?」  僕は息を止める。なんで稔さんの話が出てくるのだろうか。 「矢崎さんが夜勤と休みの間は来なかったのに、今店の近くにいたんですよ。なんかストーカーみたいですよね」  的を射ている由梨ちゃんの発言に、僕は否定の言葉が出てこない。 「え? 警察官って?」  店長が話に食いつき、由梨ちゃんに視線を向ける。 「なんか、すっごくイケメンの警察官が矢崎さんが、ここに入ったぐらいの時かな……来るように なって」  前に僕に言ったことを、由梨ちゃんは店長にも説明し始めた。 「でも、矢崎さんが夜勤に移ってからは来なくなっちゃったんですよ」  僕は血の気が引いたように、手足が冷たくなる。 「矢崎さんが夕勤に戻ったら、また来るようになったから変だなと思ってたけど‥‥‥それに、風邪で何日か休んでいる間はこなかったし」  んー不思議だ、と由梨ちゃんが腕を組む。 「ああ、でも夜勤の時に矢崎くん警察官の人と話してたよね?」  店長がフォローするように僕に問いかける。 「……はい」  僕はやっとのことで言葉を吐き出す。  現役警察官がストーカー行為だなんてさすがにまずい。 「矢崎さん、顔色悪いですけど……まさか、本当にストーカーとか」  由梨ちゃんが驚いたように目を見開く。 「まだ、病み上がりなだけだよ。警察官の人は僕の知り合いだよ」  やっとのことで、僕は笑みを作り由梨ちゃんに向ける。  心臓は速音を打ち、冷や汗が背中を伝う。  僕はやっぱりこのままではいけないと、落ち着かない気持ちのままバイトの時間を過ごした。

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