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夕食は部屋に運び込まれ、まさに上げ膳据え膳状態だった。
「美味しいですね。なんだか夢みたいです」
綺麗な器に相応しい、盛り付けをされた品々に僕は舌鼓を打つ。
「夢じゃないからね」
焼酎が入ったお猪口を片手に、稔さんが微笑む。
「あんまり飲みすぎないでくださいね。めんどくさいから」
「分かってる、分かってる」
間の抜けたような返事に、僕は呆れてため息を吐く。
「玲くんも飲むかい? 介抱してあげるよ」
稔さんが怪しく笑う。
「結構です。ろくな事にならないのは、目に見えて分かります」
僕は前回の事があって以来、お酒を飲むのを止めてしまった。
稔さんがお酒好きなので、付き合えないのは申し訳ないがあんな失態はもうごめんだった。
夕飯も食べ終わり、中居さん達が食器を下げにくる。
「玲くん。そろそろお風呂に入ろうか」
僕はギョッとして稔さんを見つめる。まさか、一緒に入るというのだろうか。
「先にどうぞ」
僕はそれとなく、稔さんを促す。
「いやいや、一緒に入ろうよ」
稔さんが苦笑いをしつつ、僕の腕を引く。
「嫌ですよ。絶対触ってきますもん」
「何もしないからさ。大丈夫だよ」
絶対何かしてくるはずだ。でも、何を言っても折れそうにもない。
僕は仕方なく重い腰をあげた。
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