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「はぁ、はぁっ、すいません……」  僕はクラクラする頭を抱え、呟く。 「先にイッちゃうのは狡いな」  いつも稔さんのほうが狡いじゃないかと、僕は心の中で抗議する。  稔さんが繋がったまま、起き上がったことで僕は中が抉られ、強烈な快感が背筋を駆け上がる。 「ああっ――」  一瞬、目の前がチカチカして僕は意識を失いかける。  稔さんが僕を後ろに押し倒し、いつもの体勢になるとゆっくりと動き始める。 「玲くん。愛してるよ」  僕を見下ろす形になった、稔さんが少し苦しげな表情で呟く。  さっき出したばかりなのに、僕のモノが質量を持ち始める。 「稔さん……」  僕は涙で潤む目で、稔さんを見上げる。 「玲くんは、僕だけを見てればいいからね」  稔さんが諭すように僕の頬を優しく撫でる。  ああ、あの花みたいだなと、僕はぼんやりと考えた。  月明かりに照らされた、稔さんの顔が白く艶やかに見える。  外からの風が吹き込み、熱を持った体をほんのり冷ましてくれた。  どこからか、白い花が風に流され僕たちの間を掠めていく。  稔さんの動きが早まり、ぼんやりとした意識から引き戻される。  お互いの呼吸が乱れ、僕は狂ったように涙を流す。  思わず、顔を横に向けると遠くでガマズミの花が風で揺れている。  ぼんやりと光り輝く白い花は、確かに僕の視線を捉えて離さない。 「よそ見しちゃだめだよ」  稔さんが、僕の顔を掴むと唇を合わせてくる。 この先もずっと、稔さんは僕をこうして捉え続けていくのかもしれない。  僕はそれが恐ろしくも、魅力的だと思ってしまう。 「玲くん。ずっと、僕が守るからね」 ーー稔さんの声が、どこか遠くに感じられた。

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