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結合1

ーー僕は玲くんに、たくさんの嘘をついている。 「ごめんね‥‥‥玲くん」  部屋の隅でカメラを構え、僕は立ち尽くしていた。  窓から差し込む月明かりが、玲くんの頬を微かに照らし、僕は言葉とは裏腹に思わず頬が緩んでしまう。  ここまで来るのに、随分と遠回りしてしまった。  今までの写真はどれも、玲くんの後ろ姿や良くて横顔だけだ。  今日やっと、僕を見つめ照れる玲くんを収める事が出来た。  興奮を抑えるのに、かなり苦労したものだ。  風が強く吹くと、白い花がふわりと部屋に入り込む。  僕はシャッターを静かに切った。  こんなにも、心穏やかな気持ちでシャッターを切ったのは初めてかもしれない。  焦る事がなくなった今、いつでも玲くんを写真に収める事が出来る。  こんなに幸せな事は他にない。それに、たくさん触れる事もできる。  僕は左手の薬指に嵌められた、指輪に視線を向ける。  僕の人生を捧げても、玲くんを手放したくない。  もし、あの時プロポーズを断られていたら‥‥‥。  僕は時仲くんと、同じことをしていたかもしれない。  他の誰かの手に渡るぐらいだったら、僕の手で玲くんを永遠に留めておきたかった。  もちろん、一人で逝かせたりなんてしない。二人で一緒に逝こうと思っていた。  きっと、時仲くんも同じ気持ちだったのだろう。  ゆっくりと視線を庭先に向ける。  白く艶やかな花が風に揺られていた。 ーーまるで、玲みたいな花なんです。  ふと、時仲くんの言葉を思い出してしまう。

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