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結合5
早速僕は、同級生の柏木 雅人《まさと》を屋上に呼び出す。
人気者の彼とは対照的な僕が、話しかけるなんてと周りは騒然としたが、柏木はもっと驚いただろう。
屋上に現れた柏木は「なに?」と物腰柔らかな様子で、扉を後ろ手に閉める。
「ちょっと頼みたい事があってね」
「俺に?」
柏木の表情が僅かに曇る。僕に頼まれるのは心外だろうし、厄介な事なら嫌だと思っているのだろう。
「一年二組に玲くんって男の子がいるんだけど、どんな子か調べて欲しいんだ」
「えっ? なんで?」
訝しげな柏木に、余計な詮索はしなくていいと写真をちらつかせる。
彼は瞠目して、血の気が引いたように青ざめる。
一見真面目そうな彼だが、裏では飲酒や喫煙をしていた。
こういう真面目な生徒に限って、何か裏があるものだと、僕は万が一に備え張っていた。
尻尾を掴んだ時は、体中が震えるほど興奮したものだ。
彼は品行方正な生徒会長として、一目置かれている。そのうえ、内申書が良いので大学も特待生として行けることがほぼ確定していた。
「ど、どこでそれを?」
柏木の唇がわなわなと震えている。
僕は風でなびく、少し長い前髪を軽く掻き上げる。
「そんな事どうでもいいから。調べてくれたら悪いようなはしないからさ」
僕はいつものように、微笑みを浮かべる。
まるで別人を見るような目で、僕を見つめる柏木が少し面白い。
「そんなに見つめてどうしたの?」
「いや‥‥‥お前に話しかけられたのも驚きだけど、まさか脅されるとは思ってなかったよ」
柏木が少し青い顔で、視線を逸らす。
「 必要とあらば僕だって汚い手を使うし、話しかけたりもするだけの事だよ」
「そうか‥‥‥。まぁー調べてみるよ」
柏木が諦めたように、ため息を吐く。
「うん。お願いします」
僕はそう言い残し、柏木の横を通り過ぎて先に屋上を後にする。
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