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結合6
頼んでいた調査を終えて、僕に結果を伝えに来た柏木は「お前、よく見ると綺麗な顔してるくせに、やることが残酷だな」と付け加える。
余計なお世話だと僕は心のなかで、あざ笑う。
もちろん、自らも裏で玲くんを探しては写真に収めていた。
どんな角度の玲くんも美しく映り、僕の心を捉えて離さない。
何度も声をかけようと試みるも、時仲くんも警戒しているようでなかなか隙きがない。
柏木曰く、男女問わず、玲くんはやはりかなりモテるらしい。
玲くんは自覚がないのか、すぐに距離を詰めてしまうのも原因の一つだった。
勘違いした人に迫られたり、告白されたりと自業自得とはいえ、かなり苦労しているようだ。
そこで、時仲くんが間に入り諌めているようだった。
まるで、姫を守るナイトの如くいつも目を光らせている。僕をやたら警戒していたのも、そのことが原因だろう。
何処か尊敬の眼差しで、時仲くんを見つめる玲くんに僕は目眩がする。
そんな時仲くんの役回りが、僕にはとても羨ましく思われた。
そこで僕は、警察官になればいつでも、玲くんを守ってあげられると思いつく。
大学進学する予定だったのを、警察学校に進路を切り替える。
もともと、借金返済での共働きの家庭だったこともあって、親も余計なお金をかけずに済むと反対はしなかった。
すぐさま、採用試験の勉強と体力づくりに明け暮れる日々が始まった。
合間にバイトも始めて、貯金を増やす。
自分にこんなバイタリティがあるとは知らなかったので驚きだ。
これも玲くんのおかげだと、僕はますます入れ込んでしまう。
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