80 / 90

結合6

 頼んでいた調査を終えて、僕に結果を伝えに来た柏木は「お前、よく見ると綺麗な顔してるくせに、やることが残酷だな」と付け加える。  余計なお世話だと僕は心のなかで、あざ笑う。  もちろん、自らも裏で玲くんを探しては写真に収めていた。  どんな角度の玲くんも美しく映り、僕の心を捉えて離さない。  何度も声をかけようと試みるも、時仲くんも警戒しているようでなかなか隙きがない。  柏木曰く、男女問わず、玲くんはやはりかなりモテるらしい。  玲くんは自覚がないのか、すぐに距離を詰めてしまうのも原因の一つだった。  勘違いした人に迫られたり、告白されたりと自業自得とはいえ、かなり苦労しているようだ。  そこで、時仲くんが間に入り諌めているようだった。  まるで、姫を守るナイトの如くいつも目を光らせている。僕をやたら警戒していたのも、そのことが原因だろう。  何処か尊敬の眼差しで、時仲くんを見つめる玲くんに僕は目眩がする。  そんな時仲くんの役回りが、僕にはとても羨ましく思われた。  そこで僕は、警察官になればいつでも、玲くんを守ってあげられると思いつく。  大学進学する予定だったのを、警察学校に進路を切り替える。  もともと、借金返済での共働きの家庭だったこともあって、親も余計なお金をかけずに済むと反対はしなかった。  すぐさま、採用試験の勉強と体力づくりに明け暮れる日々が始まった。  合間にバイトも始めて、貯金を増やす。  自分にこんなバイタリティがあるとは知らなかったので驚きだ。  これも玲くんのおかげだと、僕はますます入れ込んでしまう。

ともだちにシェアしよう!