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「はい?え?なに?ちょっと!」 急な浮遊感に目を驚くと、狗神に担ぎ上げられている。いやいやそんな簡単に持ち上げられるほど俺軽くないでしょ。と言うか本当に狗神元気になってるな!と言う突っ込みを入れる間もなく、リビングを出てすぐ隣の寝室の扉を開ける狗神に心底びびった。寝るって、いや、大の男が二人で寝るには狭い。 「いや、俺、別にソファでいい」 「なに言ってる。痛いやろ。あの場所は」 「は?いやだって寝るだけでしょ?別に一緒に寝なくてもいいんじゃ」 ないの。と続けるはずの言葉は続かずに、ベッドに放り投げられて、狗神があおむけの俺の体にまたがってきた。 「は?え⁉なんで乗っかってくるの⁉」 「寝るからだろ」 あっけらかんと言ってくる狗神に、開いた口が塞がらなくて、返す言葉も見つからない。乗っかてくる狗神を見上げると、その端正な顔がよく見える。 「さすがに男は初めてやけど」 「ん?さっきから、なに」 言ってるんだ、と言う言葉を発する前に狗神が言う「寝る」の意味が理解できた。  唇を塞がれて、そのまま入り込んできた舌に口腔を犯される。さすがに男とキスをしたことなんてないし、されたこともない。でも舌を絡めとられると舌根がゾワリと浮ついて、思わず狗神の腕をつかんだ。体から力が抜けていく。飲み下しきれない唾液が、口端から零れて、息が苦しい。 「っ、は、ん」 「体の相性はわるくないやろ」 「は、ぁ?何、」 また唇を塞がれて、身近に見える銀色に息をのんだ。スルリと頬を撫でられて、首筋からわき腹をツツツと撫でるように形をなぞり、太ももに狗神の手が触れる。スラックスを撫でながら内ももをなぞって上がってくる手の動きにゾワリとまた浮ついて、思わず目を閉じた。 「俺となら、気持ちよくなれる」 「っ、俺、もお前も男だろっ」 生理的に滲んだ涙に、狗神がクスリと笑って、スラックスの上からゆるりと反応を示している部分を撫でる。 「っふぁ、」 「ほら、な?」 「これは、違うっ、そんな触り方…っ」 睨むように目を向けると、狗神は挑発するように笑って、俺の足の間に体を割り込ませた。膝裏から持ち上げられて、服を着ているのに恥ずかしくてたまらなくなってしまう。俺だって童貞ではないのに、この体制は。 「ほ、本気じゃないだろ?こんな、さっきまで、お前怪我、して」 「だから、治った」 ギシリとベッドが揺れて、膝裏から持ち上げられるこの体制はさすがに、嫌でも性行為を彷彿させられて、思考回路から犯されていく感覚がする。 「ほら、」 スラックス越しでもわかる、狗神のそこも反応していて、お互いに服を着ているのに熱い。 「揺らす、な…っ」 「顔が赤い」 「っ、こんな、恥ずっ、だから揺らす、な、ん」 お互いのものをこすりつけるように狗神がゆるゆると腰を揺らして、これは逆に服を着ているから敏感になっているような気がしないでもない。でも、脱いだら負けな気がする。 「は、これはこれで倒錯的だな」 「も、なんで、こんな」 「…………美琴、脱ぎたくないか」  ゆるゆると腰を動かしたままで、狗神がにやりと笑う。確かに、脱ぎたい。熱いし、何より服を脱いだ方がこんなに敏感じゃないような、でも、脱いだらまずい。確実に襲われる気がする。 「俺は着たままでもいいんやけど」 「っ、や、ぁ」 べろりと、狗神が持ち上げた足の裏を舐めた。その感覚は今まで味わったことがなくて、思わず漏れた声に、俺は手で顔を覆った。まずい、めちゃくちゃ顔が熱い。でも顔よりも体が熱い。暫くご無沙汰だった快感に屈服しそうだ。 「なぁ、美琴?」  膝裏から支えていた手が裏腿を滑り、スラックスをずらず。ベルトもしていないからするりと抜けてしまったスラックスに、思わず手を伸ばした。 「美琴」 半分脱げた状態で、もうほぼ脱がされたような状態のソレを取り去られ、ボクサーパンツと素足が外気に触れる。少しばかりひんやりとした空気に、中心の熱が余計に熱く感じた。 「っや、なんで、パンツまで」 これ、邪魔。と唯一の砦となったボクサーパンツまで脱がされかけて、駄目だと押さえた。 「気持ちよくなりたいやろ?このままだとお前中途半端になる」 「っ、お前、なぁ、なんでこんな事、」 「抱きたいから」

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