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 率直にドーンと放たれた言葉に思わず放心してしまった。男が好きなのか?こんな見た目して女ならより取り見取りって感じなのに、なんで俺?しかもさっき「男は初めて」って言ってただろ。男でももっと若くてかわいいなんかその系の専門みたいなやつを抱けばいいのに、なんで俺。なんで俺⁉ 「……狗神の、ソレ、は、どうするの」 さっきからゴリゴリと熱くて堅いものが内ももに触れていて、意識せずにはいられない。 「……………」 「はっ⁉ちょ!」 俺の言葉に答える事無く、狗神が身をかがめて俺の右の内ももを舐める。べろりと舐めて、少し強めに嚙まれた。 「いたっ」 声をあげると同時に、ボクサーパンツを押さえていた力が緩み、取り払われて、緩く勃ちあがったそれが外気にさらされた。 「っ、ちょ、ま」 「痛みに弱い?」 「や、だ、まっ、あぁ、あ」 ぐちゅりと湿った音に、大きな掌で包まれてあられもない声が漏れた。そんなとこを男に触られた経験がないから、どれも未知数で、でも気持ちがよくて、ぐりぐりと刺激される感覚に絶えず声が漏れた。 「なぁ、美琴。気持ちよくなりたいやろ?」  この刺激は、抗うにはあまりにも強すぎる。       ◇◇◆ 「………………………は、」 ちゅんちゅんと鳥のさえずりが聞こえて目を覚ました。喉がわずかに痛くて体を起こすと、あらぬところに痛みを感じて頭を抱える。  何年ぶりかの性行為の相手が男。しかも俺が抱かれる側と来た。なんなんだこの展開は。普通に気持ちがよくて、たぶん、途中からは自分から強請っていたような記憶もある。最悪だ。 「―――ん、」 「…顔色は、戻ってる、か……あぁ、もう、俺はなんてことを」  壁にかかっている時計で時間を確認すれば、朝の六時。仕事には間に合う時間だけど、さっきから立とうと思っても立てないし、これはたぶん、休んだ方がいいだろう。 「あぁ、携帯……服も……片付けないと」 のろのろと引きずるようにベッドを降りて、服を手繰り寄せながらなんとか壁伝いに立ち上がって、内ももを伝う液体にゾワリとした。 「あ、……あ、」  昨夜の記憶が一気に戻ってきて目の前が歪んでしまう。まずい、早くシャワーを浴びたい。 「……美琴?」  背後から声が聞こえてびくりと体がはねた。 「お、おはよう、あの、おれ、シャワー浴びる」 「? ああ」 分かった。と聞こえて、振り向くことなく速足で浴室に向かった。 シャワーを出して、冷水なのも構わずに頭から思いっきりかぶる。 「………っ、なんだ、これ」 浴室の鏡を見ると、点々と花が咲くように赤い跡が浮かんでいる。本当に、何をしてるんだ、俺は。快楽に流されたって言っても、これは、駄目だろ。どこの誰かもわからない男に体を許すなんて、そんな事、いくら久しぶりだからって自分が情けない。 「~~~~っ、もう!」 「なに暴れてんの。風邪ひくぞ」  浴室の扉を開いて、ズボンだけはいた狗神が顔を覗かせた。 「美琴」 「………っ勝手にあけるなよ!」 「いや、悪い。でも、様子がへんやったし、泣きそうな声やった」 「それは、お前が中に出すからっ、なんか、思い出していたたまれないんだよ!」  内ももを伝う液体は、確かに俺が昨日中に出されたものだし、それを全部外に出した方がいいような気がして、でも、それも怖い。自分でそんなところに指を突っ込むのがそもそも怖いし、男に抱かれた事実が情けなくて、でも確かに気持ちがよくて、途中から強請った自分がいたのも事実だ。 その感情がない交ぜになって処理が出来なくて、情けなくて泣きそうなんだ。

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