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第24話

 頭の揺れで目が覚めると、酷い首の痛みに参る。俺あのまま寝てたんだ。地面で座って寝ていたからか、尋常じゃなく尻が痛い。というか感覚がない。  伸びをしながら起き上がり、凝った身体を解す。もう絶対座りながら眠るのはやめよう。次したらどこか体がおかしくなる気がする。  お湯を沸かし、カップ麺を用意する。昨日は土曜日で、今日は日曜日。いつもなら何もせず、食べて寝ての繰り返しだが、本日は買い物に行く。そう、料理の練習だ。  一晩寝たらなんであんなことでうだうだしていたのか、分からなくなった。先輩が誰と何してようと、別にいいのに、友達なら優先しろって本郷には思ったくせに。  青い輝きを失ったピースも机の上で眠っている。夜光は既に温度を失い、冷たくなっていた。  軽く準備し、来ていた服をハンガーにかける。クリーニング屋に持っていく予定だが、1晩着て寝たせいか皺くちゃだ。雑な扱い方に反省するが、こんな服持ったことなかったから1度の失敗ぐらい許してくれるだろう。  「まずはお味噌汁?......ん?恋人の胃袋を掴むのはやはりこれから......って、いやいや」  検索結果を読み上げ、取り敢えず作るものを絞る。俺にでもできる簡単な、それでいてあまり失敗のないもの。  「お味噌汁は、調味料とか間違えそうだし......」  誘い文句にまんまと乗せられた俺は、それが気になって仕方がない。別に先輩の胃袋なんて掴まなくてもいいが、やっぱり下手だとは思われたくない。  「チャーハンとかの方が簡単そうだけど、お味噌汁でいっか」  メモに材料を書き、近くのスーパーに出かける。毎日冷凍食品とか、インスタント食品のコーナーに一直線だから、いつもとは違う年齢層に新鮮だった。  野菜売り場では、戦場のようにごった返しで人が集まっているが、俺、いけるか?  ゴクッと唾を飲み込み、意を決してこそこそと空いた穴に飛び込む。サッと食材をカゴに入れ、着実に材料は集まってくるが、野菜の名前をあまり知らないから本当に材料はこれでいいのか不安になる。  一通り、集め終わり、今度はお菓子売り場に行く。あった、キャラメルポップコーン。5箱くらい買って、カゴ2つ分をレジに持っていく。精算してもらう途中、小さく笑い声が聞こえ、財布の中身を確認するのを止めて顔を上げると、そこには先輩がいる。......え?  「ははは、これ。そんな気に入ったの?」  小声でそう言っては、袋に商品を詰めていく先輩に開いた口が塞がらない。  「なんで、ここ、え、は?」  「動揺しすぎ。それに結構前からここでバイトしてるからね」  「バイト?モデルは?ここでそんなことしてる暇あんの?」  「モデルのこと知ってたんだ。まぁ、あれは先輩の手伝いしてるだけだし。てか、やっぱり気づいてなかったんだ」  肩を揺らして笑う先輩のえくぼに気づいて胸が締め付けられる。気づいてなかったって、先輩は俺のこと前から知ってた?でも俺見たことないし、いたら気づくと思うんだけど。

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