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第34話
改めて考えると、なんで嫌われてるんだろうか。
「......本郷と仲良くして欲しくないから?」
やや疑問気味に答えると、じゃあ、と先生はまた質問を俺に返す。
「本郷くんは佐倉くんの友達?」
「違うけど」
ん?って聞き返す先生に、聞こえなかったのかと、もう一度友達じゃないと言えば、どこか納得していなさそうにそっか、と返される。
「でも、仲いいんでしょう?」
「学級委員だから、俺に話しかけてくれるだけ」
「どれくらい?」
「ほぼ毎日」
「それって友達じゃないの?」
「違う」
「なんで?」
今日はやけにしつこいなと、いつも一言二言で終わる質問が長い。
「先生、長い」
文句を言えば、ごめんねと謝られて、最後に一つだけとまた質問をされる。
「大切な人はできた?」
真っ先に浮かんできたのは先輩の顔で、言おうかどうか迷った。無言でいると、先生がいるんだねって小さく笑う。
「いつもいないって即答するのに。佐倉くんは、頑固だけどわかりやすいから」
「そうなの?」
「顔には出ないんだけど、行動とか、言葉が出なかったりとか」
バレバレだな、と思いつつ、顔には出ないという言葉にも引っかかる。本郷にも、先輩にも言われたからだ。それを先生に言えば、同意していた。
「あまり顔にはでないね。たまに笑ってるのかなって思う時もあるけど、いつもよりミリ単位で口角が上がるくらいだし」
そんな変化にも気づくんだと変な感心をしながら、自分の顔を触った。笑ったり、悲しんだり、怒ったりしてるつもりなんだけど、顔に出ないのか、そっか。
「でも、先輩はちょっとずつ分かるようになってきたって」
その言葉に彼は、へぇ、と少し間を置き、また質問を始めた。
「その先輩っていうのは、佐倉くんにとってどんな人?」
恋人と、言っていいんだろうか。でも、男同士だし、変だと思われる気がする。俺もそう思うから。
何も言えないでいると、俺が言いやすいようにまた質問を繋いでくれる。
「友達?それとも、恋人?」
「えっと......」
どっちにしろ答えられないなと言い淀めば、先生はそれ以上聞かなかった。でも、笑っていたから恋人だってバレているんだろう。ただ、男だとは思っていないはず。
「その先輩のことで困っていたり、聞きたいことはある?」
「それは、山ほどある」
最後にひとつだけ、といったのに質問をしてくる先生に何かを言おうとはもう思わなかった。先輩の話になると、言いたいことが多すぎて。もしかしたら誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
先輩の考えていることがわからないこと、優しいくせに俺の心配は聞き入れてくれないこと、先輩の友達のことが分からないこと、スキンシップが激しいこと、一緒にいたら苦しいこと、それから1番聞きたいのは。
「自分を好きになった人が嫌いってどういう意味だと思う?」
「それは、先輩が言ってるのかな?」
「そうじゃ、ない、けど......」
先輩に聞いたことがなかったなと思いながら、少しづつ声が小さくなる声に、先生は後でメールを送ると言って、今夜は通話を切った。俺は夜遅くまで起きれず早めに寝てしまうから、それを考慮してのことだろう。
時計の針は23時を超えていて、いつより1時間ほど遅い。明日は起きれなさそうだなと思いながら、布団に丸まって眠った。
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