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兄弟どっちもやきもちやき!?オナホHにぞっこん夏真っ盛り!-4
「星哉なんかでも女子に突っ込みたいとか思うんだ?」
夏休み直前の三連休。
兄弟の両親は二人きりの二泊旅行に上機嫌で出かけていった。
「はあああ?」
土曜の午前中に両親は出発して。
午前中バスケ部の練習に出ていた智章が昼過ぎに帰宅して。
出迎えた星哉は外の熱気を全身に引き摺った兄が口にした問いかけに、しかめっ面になった。
「ねーねー、暑さで頭やられちゃった?」
「教えてください童貞くん」
「うるさ、さっさとシャワー浴びれば、汗くさ」
冷房をガンガンに効かせたリビングでお昼ごはんのカップラーメンと調理パンを食べたばかりの星哉は、あほくさいと思い、速やかに玄関から去ろうとした。
「待ーて」
「うぎゃっ?」
重たいスポーツバッグをどさっと下ろすなり、智章は、星哉にバックハグをかました。
冷風を浴びてひんやりしていた弟の肌に熱せられた兄の肌がぴったり重なる。
「あーすずし」
「暑いっ、暑苦しっ、はーなーせーっ」
「設定温度何度にしてんの、かーさんいないからって、下げ過ぎ」
「自分だってガンガン下げるくせ~~っ」
半袖ハーパンの星哉がいくら身を捩じらせようとビクともしない強力ハグ。
夏制服を適度に着崩した智章の吐息が無防備な首筋にかかって、暑いのにゾクゾク、二階に続く階段前で過激なスキンシップに成し崩しに発情してしまいそうになる。
「トモってば……おとーさんおかーさん行ったばっかだし、こんなとこで……こんなん……」
「星哉、こんなとこでえっちしたいの?」
「ちーがーう……お客さん来たらどーすんだよぉ……」
「はぁ。つめた」
「ううううう~」
自分自身で涼をとっている智章に折れて星哉は項垂れた。
玄関ドアの磨りガラスの向こうから蝉の鳴き声がしている。
どんどん素直に紅潮していった耳たぶに智章は小さく笑うと至近距離から話しかけた。
「童貞卒業させてあげよーか、童貞くん」
前のめりになって容赦なく体重をかけてくる兄に目を白黒させていた星哉はキョトンする。
「ど、どーいう意味、それ」
「そーいう意味」
「童貞卒業って、え、まさか、え」
「うん?」
「うぇぇぇえっ、おれ絶対やだっ、トモ兄で童貞卒業とかむりっ、しぬっ、ちんこくさっちゃうっ」
「お前ねぇ」
「うわぁっ、おもっ、重いっ、つぶれるっ、支えらんないって~~……!」
全体重かけてのしかかってきた兄の圧に耐え切れず、結果、星哉は階段前で押し潰される羽目に。
おでこを打って「痛い痛い」と喚く星哉に智章は笑いが止まらない。
「笑うなぁっ、くさっ、あせくさおばけっ」
「ひど」
「ほんと退いてよぉ、潰れ死んじゃうって、トモ兄ぃ」
「もうクラスではいじめられてない?」
「……別にいじめられてないし……謝られたし」
「へぇ」
「……おれ、前にチョコ捨てちゃったから……逆になんか申し訳なかった」
「星哉はやきもちやいてチョコ捨てちゃうよーなダメダメ弟」
「きちんと説明すんなぁ」
童貞卒業って、ほんと、どーいう意味だろ?
「いっしょシャワーはいろ」
「……えろいことする気だぁ」
「そ。童貞卒業」
「……」
「しぃたんに告られて、めちゃくちゃ嬉しそうにしてた」
「え」
「あんな星哉見たことなかった」
「トモ兄?」
聞き慣れた声色に感じられたトゲ、もぞもぞ頭を起こして窺ってみれば自分に乗っかった兄は「ちょっと不愉快だったかも? 今、思い出しおこ中」と、作り笑い。
あれ、これ。
トモ兄なんかちょっとキレてる……?
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