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兄弟どっちも離れ離れ!?やっぱり俺達は禁断の兄弟関係だから-最終章

「●●大学を第一志望として目指そうと思ってる」 普段と変わらない食卓で何気なく言われた智章の言葉に家族全員の箸が止まった。 ただ一人、いや一匹、マイペースな○太郎のお水を飲む音が束の間の静寂にいやに響いて聞こえるようだった。 「そうなのね、智章ってば何も言わないから進路のこと考えてるのか不安だったけど、ちゃんと決めてたのね」 母親はほっとしたように笑い、智章の隣に座る父親は無言で食事を再開させた。 「●●大学?」 向かい側に座る星哉は空中でエビフライを停止させたまま聞き返した。 「それって、じゃあ、つまり」 「ココを出て一人暮らし開始、そーいうこと。受かればの話だけど」 両親と同様、智章の志望大を初めて聞かされた星哉は動揺せずにはいられなかった。 トモ、ウチから出てくの? いなくなっちゃうの? 「へーーーーー……そーなんだぁ……ふーーーーーん……別にいいけどさぁ……」 「あらあら、星哉、強がっちゃって」 「別に強がってないっ」 「昔からお兄ちゃんっこだものね」 「違うっ、ぜんぜん違うっ」 大好物のエビフライを丸呑みして炊き込みごはんをがっついて、噎せた弟に、兄はよく冷えた麦茶をグラスに注いで手渡してやった。 「どっちかって言うと俺の方が弟っこだった、かも」 「ぶはっっっ」 麦茶を噴き出して睨んできた星哉に智章は余裕ありげに笑う。 いつもと何も変わらない兄の表情に弟の胸はチクリと痛んだ。 トモは平気なんだ。 ウチを出て、おれと離れても、いつもみたいに余裕なんだ……。 「お前のためなんだからな、星哉」 その夜、お風呂を終えた星哉が次に入る智章を呼びに部屋へ向かえば藪から棒にそんなことを言われた。 勉強中でデスクと向かい合っていた智章が振り返り、目が合って、いつも通りじゃない真剣な兄の眼差しに弟はその場で立ち尽くした。 「おれのため、って……」 もしかして、トモ兄って。 おれとの爛れた兄弟カンケーを終わらせるためにウチを出てくの? 二人の将来を考えて、やましいことは今後禁止ってことにして、大学で新しい生活……始めるつもり? なにもなかったことにして? 胸の辺りがズシリと重たくなって星哉は慌てて顔を伏せた。 泣くつもりなどなかったのに、思わずぽろりと涙が溢れ落ち、手の甲で乱暴に拭った。 「星哉?」 おれも、そっちが正しいと思う。 やっぱり兄弟で、あ、あんなことするって根本的に確実に間違ってるし。 第一志望を決めたトモのこと応援してあげなきゃ。 トモのことだから絶対合格する。 新しい生活、かっこよくスタートできる。 「……トモ、あの、おれさ」 『妄想んなかで、ずっと、こんな風に星哉のこと犯してた……』 星哉は不自然に俯いたままぎゅっと拳を握った。 兄の健全なこれからを弟なりに支えてあげたくて、震えそうになる唇を怖々と開いた……。

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