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兄弟どっちも離れ離れ!?やっぱり俺達は禁断の兄弟関係だから-2

長時間かけて高速を走り抜け、市街地中心部のビル内に位置するターミナルにバスが到着した。 窓際でウトウトしていた星哉は生欠伸しつつ、控え目に指の関節をポキポキ鳴らし、網棚に上げていたリュックを背負って他の乗客と共に降車した。 初めて訪れる街。 星哉の視線は落ち着きなくきょろきょろ、この数年内にリニューアルされたばかりで真新しい、大型連休の初日で賑わう施設内をあっちこっちうろうろ。 迷っているのは一目瞭然だった。 ううう、なんか出口いっぱいあるし、案内のパネル見ても自分が今いる現在地すらイマイチわからない。 大理石調の壁に掲げられた案内図の前で佇んで途方に暮れる星哉の背中にその声は届いた。 「迷子、発見しましたー」 ぐるりと振り返れば。 ぱしゃり 「はっっ?」 「迷子、確保ー」 「いやいやいやいや、え、なに撮って、なにしてんの、初っ端からバカじゃっっ?」 「ぷ。この顔。完っ全、迷子の迷子の星哉ちゃん~、ぽい」 「あほーーーっ消せーーーっ」 振り返れば顔のド真ん前にスマホ、いきなり無断で撮影されて揶揄されて、星哉は顔を真っ赤にして喚いた。 「ほんとに高三なったの? 中三じゃなくて?」 高校の卒業式を終え、新しい生活を始めるため実家を去って行った兄の智章と約二ヶ月ぶりに顔を合わせた弟は「トモと一コ違いじゃんっ」と揺るぎない事実を述べた。 晴れて第一志望の大学に合格し、四月から大学生になった年子の兄。 たったの二ヶ月振りなのに、なんか、ちょっと、トモ兄変わった? オトナっぽくなった? それに比べて、バスタで迷うおれって……。 「おなか空いた? 何か食べてく?」 「あっ、トモの大学行ってみたい」 「お。予行練習とか偉いじゃん」 「……」 「で。どこ進むか決めた?」 隣を歩く智章に見下ろされて星哉は表情筋をヒクつかせた。 「えーと、まだ、ハッキリとは」 「何事も早め早めに越したことはないよー」 「だっていろいろ悩むし」 「早め早め早め早め」 「う、わ、ぁ」 人通りの絶えない街角で平然と立ち止まって距離を詰めてきた智章に星哉はあわあわ、真顔の迫力に気圧されながらも言い返した。 「一応▲▲大学の文系目指そうって思ってますけど!?」 「え、私大? ふーん。とーさんかーさんに言った?」 「言った……まぁ……おれのしたいようにしたらいいって、言ってくれました」 「はぁ。弟には甘い甘い」 「えっ……トモ、なんか制限あったの?」 「ん? 特には? 行きたいとこ行きなさいって」 「おれと変わんないじゃんっ」 「星哉、そんなとこ突っ立ってたら人の邪魔」 「わっ、っ……」 片腕を掴まれてぐいっと引き寄せられ、星哉は、元バスケ部の頼もしい握力に思わず頬を紅潮させた……。 『お前が勝手に思ってること、勘違いだから、それ』 『え……』 『星哉もおいでよ』 『ど、どこに……』 『●●大学』 『む、むりむりむりむり』 『はぁ。じゃあ近いトコでいーから』 『近いトコ……』 『俺と星哉でいっしょに暮らそ?』

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