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今日は職場の忘年会の日だった。 お偉いさん方が出席する会社全体の忘年会はまだ少し先、本日は部署のみで、洋風居酒屋個室の掘りごたつを十人にも満たない人数で囲んで始終和気藹々ムード。 の、ハズなんですが……。 「嘉月君、ウチに来てもうすぐ一年かねぇ」 「ハイ、そーですね」 「いつも色々任せちゃって、この間も翌日必要なJRの切符頼んだりして、お世話になってるねぇ、はい、ビール」 「あ、ビール苦くて苦手なんで」 「かっ係長、俺が頂きますね!」 もー嘉月ったら係長に話しかけられても平気でスマホ見てるし、お酌断るし、俺幹事だし、気が気じゃないです。 でも生三杯目ですけど、そろそろ梅酒行きたいですけど。 「一杯目がカンパリオレンジとか、私より女子っぽい、嘉月クン」 そして席順、俺→嘉月→Gさん、なんです。 乾杯してからずっと生ハムシーザーサラダやら海鮮グラタンやら生パスタやら、Gさん、せっせと嘉月に取り分けてあげてます、ちなみに俺は全部自分で皿に盛ってます、もう慣れたから今更傷ついてなんかいられません。 「眞部君、コレとコレ頼んでくれる」 「眞部さーん、お酒の追加もお願いでーす」 あ、色々気にしたり追加注文してたらグラタン冷えちゃった、熱々が食べたかったのに。 「とほほ」 「とほほってほんとに言う人、初めて見た」 無地シャツと、黒地にピンクやグレーのアーガイル柄セーターを重ね着し、こもる熱気に促されて腕まくりしていた嘉月は二杯目のカンパリオレンジを飲んでいた。 一応、俺の恋人です。 相変わらず舌打ちされる日々を送っています、とほほ。 「嘉月君、上司からのお酌を断るんじゃないよ、それとスマホ見過ぎ」 俺の注意を無視して嘉月はグラス片手にスマホを見続けている、俺は肩を竦め、冷えたグラタンを口に運ぼうとしたのだが。 むにゅ! 「ぎゃ……っ」 な、なにしてるの、このコ、いきなり股間触ってきましたよ? 何の断りもなしに股間まっしぐら、ですよ? 「か、嘉月? 何やって、」 むにゅむにゅ! 「や……めろ、触るなッ」 小声で必死に注意する、向かい側はおしゃべりに夢中で気づかないかもしれない、が、隣のGさんの視界にはさすがに入るはず……あれ、いない? いつの間に? 「Gさん、トイレ」 「あ、そうなんだ……っだからって! こら!」 「眞部さんが俺に構ってくれないから」 口ではカワイイこと言ってるけど手は露骨に股間揉んでますからね。 「お仕置き」 鮮やかな酒をグラス内でゆらゆらさせ、ちらりと流し目で俺を見、嘉月はエロゲスな笑みを浮かべた。 そうこうしている内にGさんが戻り、お仕置きタイムは終了、嘉月はスマホに意識を戻した。 俺はと言うと。 勃っちゃいました。 ちょっと痴漢されただけでビンビンに……はぁ、軽く死んでしまいたい、とほほ。 そのまま放置するわけにもいかず、お店に内心へこへこ謝りつつトイレでこっそりヌかせて頂いた。 「眞部さん」 念入りに手をキレイキレイしてトイレを出たらフロアに続く細い通路に相変わらずスマホ片手に嘉月が立っていた。 「あれだけで勃っちゃいましたか、処理、お疲れ様です」 「う、うるさい……フンだ」 「二次会、どーします」 「あー……出なきゃ、かな」 「俺は帰ります」 嘉月がさっと俺に片手を差し出してきた。 「鍵」 「え?」 「鍵だよ、わかれよ、酔っ払い」 「え、鍵? 何の?」 「今ここで5Fフロア物置室の鍵でも求めると思いますか、眞部さん」 こ、怖い、敬語の方が却って怖い。 「部屋だよ。今日泊まらせて」 「……部屋の鍵は鞄の中だから」 「ん、じゃー後でちょーだい」 俺と入れ替わりにトイレに向かった嘉月。 ……どうしよう、また勃っちゃいそうで怖いです、元気過ぎかつエロ過ぎです、最近の俺。

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