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『もっと一本一本、丁寧にお舐めー、眞部』
酔った勢いで二十歳の恋人・嘉月と女王様ごっこをしたことがある。
嘉月がほんっっとうエロゲスな女王様みたいで。
ごっこっていうか、ほぼモノホンなプレイがそりゃあ様になってたから。
『きたねーナニから飛び散ったきたねーザー汁で汚れるわけ』
だから覚悟決めました。
もうどんなに罵られても構いません、股間踏んづけられて罵倒されてもいいです、むしろそうされたいです……さすがに言い過ぎた、再起不能になったら元も子もない。
「何これ」
週末の夜。
俺のマンション自宅へ泊まりにやってきた嘉月、昨晩届いたばかりのやたらでかい包装を渡せばすぐさま尋ねてきた。
「バイブですか」
「そ、そんなわけないよ。どんだけでかいの」
「あははーですよねー」
無表情で空笑いした嘉月に俺はもじもじしながら一先ずざっと言い訳を述べておくことにした。
「今年ハロウィンあるだろ?」
「毎年ありますけど」
「せっかくのイベントだしちょっとそういう気分味わいたいかなーって」
「まだかなり先ですけど」
「でも街でわざわざ仮装するのは大袈裟だし、家でかるーいノリで楽しんでみたいなーって」
もじもじしていたら不審者でも見るみたいな目つきで一瞥された、胸が痛いです、そして逆にときめく股間、最近の俺の体どうなってるの。
「何かのコスプレってわけ」
「ハイ。そうなります」
ビリリリリリリリッッ!!
「……」
やだ、ヒいてる? 二十八歳でもう三十路手前っていうのに二十歳の男の恋人にこんなコスプレ衣装用意したのかよ、って、嘉月ヒいちゃってる!?
「あのそのえっと、嫌なら返品するから!」
「着ましょーか」
「えっ」
「半年先の本番までとっときます?」
普段ならランチや定食で大好物はとっておく派の俺だけど。
この時ばかりは先延ばしを放棄して欲望のままに思いっきり「うんっっ!」と真っ先に頷いた。
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