4 / 7

4

 食事を済ませると、近場の銭湯に向かう。  俊平は着てきた制服しか持っておらず、敏彦に浴衣や手ぬぐいを借りると夜の街へと二人で繰り出す。  ガス街灯の明かりが道を照らし、まだ早い時間のせいか人が多く行き交っていた。  昼の雰囲気とは違った、綺羅びやかな様相と隣にいる敏彦の存在に俊平は胸が一杯になる。  銭湯の浴室で引き締まった敏彦の体つきを目にし、俊平は落ち着かない気持ちですぐに逆上せてしまった。  敏彦に笑われながらも、先に湯から上がると借りた浴衣に袖を通す。  少し大きいが、寝るだけなら問題ないだろう。  落ち着かない気持ちを持て余しつつ、俊平は先に銭湯の入り口で敏彦を待つ。 「中にいればよかっただろ。湯冷めしてしまうじゃないか」  少し不服そうな声が背後からかかり、敏彦が来たのだと分かった。 「すみません。逆上せてしまったので……夜風で冷まそうと」 「そうか……。冷え切ってしまう前に、早く戻ろう」  少し速い足取りで、二人で家に戻る。  敏彦に二階の寝室に案内されると、すでに布団が一組敷かれていた。 「あいにく、客人用の布団は用意してなくてな……良いか?」  敏彦はこれから行われることに示唆して、含みのある物言いをしているのだろう。 「……はい」  俊平の胸の鼓動が早くなり、口の中が乾いてくる。  敏彦が部屋の明かりを消すと、窓から差し込む月明かりだけがぼんやりと室内を照らしていた。  立ち尽くす俊平の手を取ると、敏彦は布団の上に連れて行き二人で座り込む。  無言のまま、敏彦が顔を近づけてきたので俊平は静かに目を閉じた。

ともだちにシェアしよう!