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第3話 過去と、現在
『んっ……ッ……!』
チェック柄のありきたりな下着。だけど、優希にとっては宝物だ。それを部屋に持ち帰り、ベッドの上で時臣の匂いを堪能する。肉茎が痛いほど硬くそそり立ち、優希の下着を持ち上げている。時臣の下着を鼻に宛てがったまま、優希は熱い肉茎を握りしめた。ただそれだけで、悲鳴が上がってしまう。
『んぁッ…ああッ……! 父さんっ…すき……! すきっ……あっ、あ……!!』
勢いよく白濁した粘液が噴き上がった。若さゆえ、達するのも一瞬だ。
『父さんっ……父、さんっ……!』
絶頂しながら何度も父を呼ぶ。いくら欲望を吐き出しても、満足することはできなかった。
想像の中の父はとても優しい。優希に甘いキスをくれたり、きつく抱きしめてくれたりする。現実には起こりえないことだけど、こうして自慰をしている間は好きに想像できる。
終わってしまえば虚しいけれど、溢れる愛しさはどこかで発散させないと、いつか爆発してしまう。本能でそう感じていた優希は、倒錯的な自慰によってなんとか冷静さを保っていた。
誰にも言えない秘密の行為。それは大学四年生になった今でも続いている。
「……時臣、さん……」
遠い昔のことをぼんやり思いながら、優希は父の名を口にした。広いトレーニングルームに、切ない声が響く。高校生の頃とは違い、今は自慰の最中だけ父を名前で呼ぶようになっていた。そうすることで少しでも罪悪感から逃れようとしていたのだろう。
高校生の頃との違いはもう一つある。優希は普通のオナニーでは満足できず、アナルで快楽を得ることを覚えていた。
今夜もまた、窄まった蕾を指で丹念にほぐし、持ち込んだディルドをアナルでに突き立てる。ベンチの上で四つん這いになり、ゆっくりとディルドをピストンさせれば、あまりの快感にわけがわからなくなった。
「ああッ……! おっきいの……入ってるっ……!」
優希は淫らに腰を揺らめかせ、かたく目を閉じて父に犯される自分を想像した。逞しい身体をした時臣が、華奢な優希を後ろから深く貫き、ズン、ズン、と力強い抽送を繰り返す。長大なペニスによって奥を暴かれ、たまらない喜悦に翻弄される――。
もし時臣が本当に自分を抱いてくれるなら、死んだって構わない。優希は本気でそう思っていた。
「あッ、あ……!! 奥…グリグリして……いっぱい、突いて……!!」
前には触れず、後ろをディルドでいじめ抜く。前立腺のあたりを執拗にえぐり、堪えきれずに涙が溢れた。ポタポタと水滴が落ち、ベンチが濡れる。
「んッ、イクッ……だめ、イっちゃう……!!」
グチュグチュという卑猥な音が一層激しくなった。ディルドの切っ先が優希の最奥を貫き、苛む。極みを得るのは時間の問題だった。
「時臣さんッ……もうッ……イク…あ、ッあああ……ッ!!」
ドクン、ドクンと肉茎が震え、たっぷりの精液がベンチを汚す。息が整わないまま、優希は時臣の名を小さく呼んだ。
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