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戦争の現実
「おつかれ〜」
コイツは、久我 蓮。俺と同期なのにコイツは隊長、俺は隊員。しかし、それも才能だ。いつか、こいつを踏み台にし俺が隊長になる。
「何だ、まだ生きてたのか」
「勝手に殺すな」
久我が笑い、
「勝った祝いに、飲むか?」
冷蔵庫から取り出した缶ビールを見せ言った。
「おお」
それから十数分後。
「ラノの方、結構ヤバかったらしいぞ」
酔いつぶれたのか、机に頬を付け、半開きの目で久我はそう言った。見た目の割に酒に弱い久我。しかし、酒を飲みたがるという、謎な性格をしている。
ラノとは、海上自衛隊の一員、安藤 信仁の事だ。そいつはライトノベルが好き過ぎるので、みんなにそう呼ばれている。特に『目を覚ますと、小人になっていた』という作品が好きらしい。一度一巻だけ読んだことはあるが、独特の笑いがあり面白いといえば面白い作品である。
「なんかさ、米軍がこっち陣地に来ちまっ…。どうした、浮かねぇ顔して。…っ、やっぱそうだよな。相田だろ」
途中から酔いをこらえたのか、急に冷めたのかは分からないが、まともに喋りだし、静かに缶を置いて。
「辛ぇのは分かる。お前も分かってんだろ、戦争には付きもんってこと。あいつも分かってて、出てるんだ」
慰めか、俺の肩をそっと叩く。
「分かってる…でも、新婚だったし。美香さんがどう思うか…」
俺達と同期だった相田は、正義感旺盛で見ず知らずの人でも手を差し出すような奴だった。そんな奴が、何で…。
「美香ちゃんだって、それも受け止めて相田と一緒になったんだ。ま、無理すんな」
気がつくと、目からは大粒の涙が。
「泣きたいだけ泣け」
そっと呟かれたその言葉は、妙に心に響き余計に涙が。
「…ちょっと、外の空気吸ってくる」
俺は立ち上がり、ベランダの扉を開けた。
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