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国の為にかける命
「やっぱ、米軍は強いな。人がどんどん死んでく」
そう思いながら、銃口を相手に向ける。
俺の撃った弾で、人が死ぬ。
「あの人にも、家族がいるんだろうな」
人を撃つ度に思う。その度に胸が痛む。だが、
「殺るしかない。じゃないと、こっちが殺られる。…ゔっ」
気が緩んでしまって、右肩を撃たれてしまった。
「こんなんじゃ、ハチキュウを構える事が出来ない」
『ハチキュウ』とは、戦争用銃であり、俺の愛用銃である。応急処置を済まし、仕方なくあまり得意では無い他の銃を使うことにした。
そんな時。
「葉月!」
それは一瞬の出来事だった。返り血を浴びながらも、はっきり見えた。久我が俺をかばい、撃たれたところを。
「すまん、久我…」
久我の頭を膝に乗せ、タオルで腹部を止血した。その時は、周りにいた仲間達が援護をしてくれて、なんとか生きていた。
「俺の事は…いいから、戻れ」
「でも…」
「俺は…もう無理だ。生きろよ。そんで、国を…守れ」
涙を流しながら、俺の手を強く握った。久我の涙を見たのは、これが初めてだった。そして、その言葉を最後に久我は息を引き取った。
あの約束だけでも破らない為にも、涙を流さない様に堪え、久我の姿を物陰に隠し、遠ざかり、銃口を米軍へと向けた。
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