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どこでも一緒
入学式
なんて特に思い入れも不安も期待もなかし。
出したばっかの制服に身を包みながら出てくるのはこれからまた囲まれるのかという疲労感
食欲もないしな。
よかか、コーヒーだけで
コーヒーを飲み干して、俺は家を出た
やっぱりか。
入学式と書かれた門の前に来ると先生らしき人が下駄箱までを案内していた。
初めて中に入った俺はその説明を何ともなしにきいとったとばってん、
終わった途端にケバい女子達に捕まった
「あのぉ~?1年生ですか?」
「んー?そうやけど?」
『きゃーーーーーー』
うるさい
そこからはそいつらが、ケー番教えろだの、
名前教えろだの、何だの騒いでいたが
テキトーにあしらっとった
誰がお前らなんかに教えるか
そのうち人数が多くなりすぎてどうにも
対処出来なくなった
動けなくなって門の横の植え込みの淵に座り、どげんしようか考えていると、さすがにまずいと思ったのか教師達が女子をどんどん払っていって、何とか抜け出すことが出来た
はぁ、やっぱ。どこでも一緒やん。
後ろから追っかけられてないか気にしながら歩いとるとドンッと人にぶつかった
「おっと、ごめん?余所見しとった。」
背が高いからなんやろうけど少し目線を上げて俺の胸あたりを見たあとびっくりしてもう少し視線を上げたこいつがいちいち表情が
面白くて、つい、見入ってしまった
確実に目が合う、けど……
「いや、こちらこそ考え事してて、見えてませんでした。すみません。 」
普通に答えた。
「あれ?」
何で?まぁ、男子やしある程度は違うけど
男子でも俺と目が合ったらそれなりに話せんし、どいつもこいつもマジマジと顔を見る
女やったら媚び売るし、
男やったらソワソワする
こいつ、何か面白いな
最初話よる時にこいつ口下手かなち思たけど
どうやら、慣れると大丈夫らしい
途中から色んな事を話し出してびっくりした
母親が大阪人とか、妹がおるとか、高校から一人暮らしするとか、ゆう…何とかとれ……っていう幼なじみがおるとか、バスケやっとって入ろうと思とるとか、
そんな他人の情報なんて今まで全然聞く気にもなれんかったけど、素直に楽しそうに話す千聖が何か、んー、面白い?可愛い?くて俺も素直に聞いとった
教室まで来てそんな千聖の顔は強ばったとけど。まぁ、しゃーないわな
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