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まだマシ

ガラッ 「それでさ!バスケ部に入ろっかなって 思って、て、さ、………………」 ん?ガラッ?今俺扉あけた?あけたよね? 今まで横を向き上を見ていた視線を通常に戻すとじっーとこっちを見ているクラスメイトがいた。あ、……しくった。 途端に奏を見て騒ぎたす女子と恐らく優斗のように奏が来たことで戦意喪失する男子達の 喧騒が耳に届く 窓側真ん中らへんに座ってびっくりしている優斗を見つけて、逃げるように近寄った 「……ちさとぉ?」 「ゆ、ゆゆ優斗、ど、どお、あ、どうしよ」 「え?」 「目立ったよね?目立ってたよね?」 「そりゃイケメンと入ってきたらねぇ? てか、何でそんなに小声なのさぁ」 「やってしまった!これなら優斗と入って きた方がまだマシだった!」 「ちょっとぉ?ましってどういうことぉ?」 「まんまだよ!!!!!!」 「ぶっ」 優斗との会話の間で教室3回目?となる 吹き出し音を聞いた 「くくっ、千聖、面白かね」 「おまっ、何でついてくんの!? 離れろ!!!目立つ!!!」 「えぇー?よかやろ?入れてよ これやろ?幼なじみ。」 「これぇ?千聖!!!誰これ!!!」 「あぁ、ごめんごめん」 「え?あぁ。えっと こいつはさっき話した幼なじみの、」 「優斗だよ!」 「上は」 「上?」 「苗字の事」 「桜庭!」 「あ、で、こっちが、さっきたまたま会った」 「村主奏」 「……もしかして!こいつか!あの女子」 「はぁ?俺男。」 「奏、違うぞ。訳すと もしかして、朝、女子に囲まれてた 噂のイケメンってこいつのことか!って」 「そう!さすが千聖ぉ」 「まぁ、確かに囲まれとったけど…………」 「くっ、くそぉ」 キーンコーンカーンコーン そこでようやくチャイムがなり、少しして メガネをした気弱そうな女の先生が入ってきた。 後で分かったけど副担の村石先生だ 現代文を教えているらしい (ちなみに担任は与田と言うらしく、 暫く諸事情で来ないらしい…… どうなってんだよこの学校。) 「席に座ってください」 気弱に見えたが、話し方はハッキリしていてきっと見た目と性格が合わない系の人なのだろう ガタガタと集まり話していた奴が移動する 男女それぞれ20人のクラスで男子女子の順番になっている 奏は窓側の一番後ろ、その前に優斗 俺は奏の右横になっていて、1列挟んで右に居る女子達の視線が痛い ……から。こっちを向いて話しかけるな 「では廊下に整列しましょう 出席番号でお願いします」 そんな時、村石先生が言った 救世主と呼ばせてほしい 「なぁ?千聖、何で無視すっと?」 「してない、うるさい、はよ並べ」 「ちぇー」 ちぇーじゃねぇよ!こっちはお前のせいで注目浴びすぎて気持ち悪いんだよ 「あのー?名前なんて言うの?」 「んー?おれ?村主」 「ぎゃー、私香恋、よろしくー」 2列に並ぶと奏はさっそく隣の女子に話しかけられていて、人とすぐ話せるなんて凄いなーと純粋に尊敬した それにしてもぎゃーって スゲーな女子 チラッと隣に居る女子を見てみた 身長は女子にしては高い方で165くらい 綺麗なロングストレートの髪をひとつに結っている いつの間にか見つめていたらしく 視線に気づいた隣の子が話しかけてきた 「あのー?どうかした??」 「……え!?あ、いや、え、ご、ごめん!!」 全力で謝ったせいで注目を浴びた だがその女子は気にしてないようで笑いながらさらに言葉を続けた 「ふふふ、もしかして話すのが苦手?」 「ぇ、あ、うん。ごめん」 「いいわよ?私小宮明、宜しく」 「あ、え、あ!夏目千聖。宜しく。」 俺はあんまり第一印象が良くない。 キョドって話してしまうのもそうだし、ノリのいい返事も出来ない。逆に話せないならクールに徹しろと優斗から言われたこともあったけどそれも焦って出来ない。 だけど小宮さんと話すのは何故か緊張しないし、話しやすくて初めて女子と落ち着いて会話したような気がする 「夏目君って面白いね?、 千聖って呼んでもいい?私も明でいい」 「え?あぁ。うん。いーよ。」 それから列が動くまでずっと明と話していた それを何とも形容し難い目で奏が見ていたのだけど、その時俺は気づかなかった

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