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黒い塊

恋人という自分が聞いたことの無い話になって我慢出来なくなった 千聖は教室に着くなり口を開けて固まってて 茶髪のちんちくりんに近づくなり、百面相しだして面白かった 女の先生が席に着けと言うから着くと何と隣は千聖で、運命とか信じとる訳じゃ無かばってんなんとなく嬉しか気持ちになった 俺は窓側の一番後ろ、その前に優斗?やっけ がおってもう前の奴と仲良うなりはじめとる 「千聖、バスケ部入るとやんね?」 「千聖、ポジションは?」 「……。千聖?聞きよる?」 廊下での話の続きをしようと思って千聖に話しかけたけど、チラチラ周りを見ながら、全く応えない。 てか、こっち向かんし 「では廊下に整列しましょう 出席番号でお願いします」 暫くして、女の先生がゆうとパァっと顔を輝かさて千聖は立ち上がった 「なぁ?千聖、何で無視すっと?」 「してない、うるさい、はよ並べ」 「ちぇー」 ふーん。まあ、多分人見知りやし? あんま、人の前じゃ話せんとやろ。 何て思いながら並ぶと 「あのー?名前なんて言うの?」 ……。またか 隣の女が馴れ馴れしい てか香水臭い。よるな 暫くテキトーにあしらっとると 「……え!?あ、いや、え、ご、ごめん!!」 千聖の声が聞こえた 視線をずらすと、千聖と女が何か話しよって 千聖は口下手の癖に何か楽しそうに話よるし。 何かイラつくなぁ。 距離を近くして擦り寄る女にもイラつきながら横目で千聖を見とったけど、やっぱり何かイライラする なんなん?さっきまで話しかけんなオーラ出しとった癖に お前口下手やろもん 式中も何かそればっか考えて 式が終わってもイライラ止まらんし 「では、明日は朝8時半からです それでは気をつけて、帰ってください」 それ聞いて、千聖の方を向いた、けど 話す言葉も見つからん ちょっとして千聖が俺の方を向くなりビクッとなる。イラっとする。何?何か怖いか? 「か、奏?」 「……なん?」 不機嫌を隠さず言うと 「…………。か、奏って、あ、頭いいんだな」 目をキョロキョロさせながら、千聖が一生懸命言った。ちょっと吹きそうになって 「……別に」 そう言って窓の方を向き、笑いを堪える 頭いいんだなって、この状況で? 「か、かな『なぁ、今からみんなで遊び 行かない?親睦会的な?』 出た。おるやん、こーゆー奴 行きたないなぁ。女とかこーゆーのうざいし てか金髪空気読めや 「か、奏も行く?」 少しビビりながら千聖が聞いて、千聖が行くならいいかもと思った。なんでやろ。 「……あぁ。」 まあ本人ちょービビっとるけど。 「ねぇねぇ?えっと奏君?一緒に行こう?」 またアイツや、名前聞いた気するけど忘れた ……奏君ってきも。 ゾロゾロと女が集まってくる 「んー?よかけど。でも、」 「やったぁ!はやくはやく!!」 話聞けや こーゆー時の女って強かし、うざか。 せっかく千聖と行こと思たとに 女に押されるように教室を出て、靴をはいて、金髪の後を行く。 女の話に、んー、そやね、ははっ、秘密 とか相槌を打ちながら進む 少し振り返ると後ろに千聖とあの女が見えた さっきまでおさまっていたイライラがまた来る 少しペースを落として千聖に近づくと、女達の声に混じって千聖の声が聞こえた ちょうど兄弟の話をしとった。けど、それは俺も聞いたし、女が双子とかキョーミもない。 「ねぇ、恋人いた事ある?」 は?………… 「あ、それ、は、」 千聖がオドオドしながら何か言おうとした 「ちょっとよか?」 「え、あれ?か、奏?」 「ちょっと来て」 「は?え?ちょ、ちょっと、ま、待って」 千聖の左手を掴んで逆方向に向かう。 「おぃ!!奏!!何すんだ」 「よかけん」 「良くねーし!!」 「うるさかね、」 「なっ!!!」 千聖は止まろうとしたり、腕を払おうとするけど、少し力を入れればなんてことない。 何なんだとか、どうしたんだとか、どこ行くんだとか、千聖が言うけど 決まっとるのは家に行くことだけ 大体俺が聞きたい。 でも、千聖が恋人について言おうとした時、今日一でムカついた。それはまだ俺だって聞いてなかし。どーせ、千聖のことやし?口下手過ぎてつまらんとか思われて告白されんとか、自分に自信のーて告白できんとかで、付き合った奴とかおらんとやろーけど? でも、それを先にあの女が聞くのはムカつく。 腹とか胸とかに何か気持ち悪いもんが溜まっとる。そんな感じ

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