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最悪の目覚め

目を開けると、そこは知らない場所だった 正確には記憶がぶっ飛んでたんだけど とにかく体を起こそうとする 「ぃっ!…………。」 けど身体中痛くて頭を上げることも出来ない そんなんで暫くじっとしていると、だんだん意識が覚醒してきて昨日あった事が鮮明に浮かんできた。あ、俺、奏に。 最悪の目覚めだった 今まで夜更かしし過ぎてまだ寝たいとか 筋肉痛であんまり寝れなかったとか そんなのを目覚め悪いなぁと思っていた俺には最悪の目覚めだった 目だけを動かして確認するとベトベトだった顔や体は拭かれていて、綺麗になっていた シーツもぐしゃぐしゃだったのにホテルのように綺麗になってる あのドロっと何かが流れる感覚も無いから きっと中も綺麗になっているのだろう とてつもなく、とんでもなく、痛いけど! 少しまって動こうとしたけど……ダメだった ガチャ 誰だかは分かっていたので目は向けない 「…………千聖?起きた?」 返事もしない。てか、何が何だか分からない 「千聖、ほんとごめん、どうかしてた」 どうかしてた? 「ち、」 「どうかしてたって?何?」 声を出すと枯れていて、初めて喉が痛いことに気づいた。けど頑張って続ける。何だか喉が痛いせいか耳も変で涙が出てくる。 「…………千聖」 「どうかしてたってだけで、こんな事して許されると思う? 」 そこでやっと、奏を見る。 少し涙で歪んでいたけど、目は逸らさない ハッキリした表情は分からないけど、初めて見た時の様な凛々しさ的なものは無かった。 「………………。」 「……今、何時?」 「え?……8時半」 「夜?」 「うん。」 どうやら思ったより時間は経ってないらしい 入学式が午前中には終わって良かった 入学早々休むわけにはいかないし、 「……帰る」 「え?今?もう少し休まんと」 「命令すんな!」 「千聖……。」 それから頑張って起きようとしたけどやっぱりピクリとも動かなくて、 それでも、奏に助けは求めなかった 情けないなぁ 奏は何も言わずにじっと立っていた 暫くして動かない事を自覚し、ふぅと息を吐く すると奏はまたどこかに行ってしまって、 安心したような、不安な様な気持ちになる 暫く天井や電気を見ていると奏がコップを持って戻ってきた。 「千聖、水。喉痛いやろ?」 ムカ、誰のせいで そう言って奏はベットに腰掛けて肩らへんに手を入れて俺を起こした。 「っ!!いっ、た」 腰と尻に激痛が走った 「ごめんな。」 奏が泣きそうな声で言うから、ぐっと言葉を飲み込む 「ほら、飲める?」 腕を動かすけど指先が、ぴくぴくするだけで終わった それを見た奏はそっと口にコップを近づけ飲ませてくれた。自分でも意外なほど喉が水を欲していてごくごく飲んだ 「ん、もうええ?」 「ふぅ、うん。ありがと」 「っ、…………ん。」 今度はコップをサイドテーブルに置いて、背中を摩ってくれる 何となく安心して体を任せた 「千聖。帰りたいと思うけど、多分動けんと思う。ごめんけど今日はあきらめて、な?」 背中を擦りながら奏が俺を覗き込んで優しく言った。 「…………。うん。」 しょうがない、動けないのは事実だ 「ありがと、……一人暮らしやんね?」 「何で知ってる」 「朝言っとった。父親と母親と妹。 母親は大阪出身。 俺、興味あること忘れんけん」 「…………何か、それじゃお前が俺に興味あるみたいじゃん」 「ん、あるよ。」 ……え?

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