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あれから千聖を風呂まで運んで優しく中のものを取り除き、全体をタオルで拭き上げた 見るだけで心が痛くなる様な状態やったけど 俺のせいだと思うと尚更罪悪感がある それからベトベトになったシャツやシーツを洗って新しいシーツの上に千聖を寝かせてタオルケットをかけた お腹空いたやろけん、リビングで飯の準備して、様子を見に戻ると 「いっ!!…………」 千聖のくぐもった声が聞こえた 入るタイミングを失って、棒立ちしとると、 いっ、うっ、と言いながらゴソゴソ音がした きっと動かない体を起こそうとしているのだろう。そう思うと無性に抱きしめたくなった。 「…………千聖?起きた?」 返事はない。そりゃ、そうやろう。傷 ついとる場合やない。 …………まず、謝らんと 「千聖、ほんとごめん、どうかしてた……。 ち、」 「どうかしてたって?何?」 声は枯れていて、涙も出始めた。 「…………千聖」 「どうかしてたってだけで、こんな事して許されると思う? 」 千聖が真っ直ぐ俺を見た 何も言えなかった 「………………。」 「……今、何時?」 「え?……8時半」 「夜?」 「うん。」 「…………帰る」 「え?今?もう少し休まんと」 「命令すんな!」 「千聖……。」 頑張って起きようとしとるけど全然動けてない それでも、俺に助けは求めない。 手を差し伸べたいのを拳を作って必死に握り潰す。 暫くして、ふぅと息を吐く千聖の息が相当乾いていることに気がついた。水。 水を持ってきて、ベットに腰掛けて千聖を起こした。 「っ!!いっ、た」 「ごめんな。」 自分で持てないみたいだった そっと口にコップを近づけた。ごくごく飲む千聖を見てやっぱり愛しさがあった 「ん、もうええ?」 「ふぅ、うん。ありがと」 「っ、…………ん。」 ありがとって?こんな酷いことした奴に? 何か、こう…………愛しさが大きくなる。 同時に罪悪感も。 それから家に帰るのは諦めてもらい ご飯を食べるためにリビングに行った 運ぶのはお姫様抱っこにした1番負担がかからないからだ。俺に気遣って痛いのを我慢し、声を押し殺す千聖を見て、できる限り丁寧に優しく運んだ。リビングに入ると暫くキョロキョロしてワクワクしよって、ちょっと千聖の見えん所で吹いた。それから千聖が豆嫌いな事を知り。ご飯の時途端に明るくなることも知り。バスケを小学校から幼なじみとやっとって、そこそこやれる事も知った。正直言うと幼なじみを自慢げに語るのはモヤモヤしたけど、それでも千聖が楽しそうに話してくれて嬉しさの方が勝った。 何より、いただきます!ごちそうさま! と手わ合わせて言う千聖がほんまに綺麗に見えて、心が綺麗なんやと。こいつは違うんやと泣きそうになった。 ほんとに、なんてことしてしまったんだろ 今更やけど、千聖の心が欲しい。 アイスを食べる千聖を見ながらそう思った。 今度アイスも作ろう。なんて思うほどに。

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