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ふたりとも

「………。誰だか知らないけど僕は千聖と話したいんだけど?」 知っとるけど 「えぇー?いいやん。混ぜてーな?」 女子に囲まれとったら、優斗の他に知らん奴来て3人でギャイギャイ話しよったんちゃけど、千聖以外の2人はどっかいってしまって、残されて女子の机に座って、1人で怒ったり落ち込んだりする千聖を面白かち見よった。話さん俺にやっと諦めたらしい女の間を通って千聖に近寄ろうとする。と、ちょうど優斗とノッポが帰ってきた。女子の机の方がドアに近くて俺よりも先にあっちで話し始めた。 で、どういう訳かこうなった。 てか、俺がこうした。 「あ、え?ちょっと、奏?」 「あ、えっと!待って!礼!」 千聖と優斗が必死に俺達を止める 周りの奴らも俺らがビリビリしとるけん、全く近づいてこん。 「かっこいい」だの言っとる奴らは論外や 「お前には関係ない」 「そんな酷いこと言わんでや~悲しいやろ?」 「……。」 ノッポは俺がどういう奴か見分けたらしく、それ以上の事を言ってこん。何言っても無駄な奴を説得することほどめんどいこともないしな。 「なー?てか、あんた誰?」 千聖があんなに素を出せてるし、優斗とも仲ええみたいやから幼なじみなんやろうけど。 どう考えても、人見知りでネガティブな千聖と活発でうる……よく喋る優斗とウマが合うやつには思えんし。こいつ人を冷めた目で見て、使い捨てる的なやつやろ。千聖も優斗も何か敏感やし、到底あそこまで仲よーなるなんて思えんとやけど。 「君に話す義務も義理もないはずだけど? ……奏君?」 「んー?そやな。でもそっちは知っとる癖に 自分は教えんのはどーなん?」 「僕の場合は自分で掴んだ情報だよ。 君に聞かずにね?」 「どーせ、優斗やん?」 「だったら君も優斗に聞けばいいよ。 僕は自分から君に名乗るなんてごめんだね」 こいつ。 よーわかった。こいつムカつく。 「…………いやー、降参やわ。 で。優斗こいつ誰?」 優斗を見らんでも優斗がビクッとしたのがわかった。そして、震えそうな声で頑張って喋っとる優斗はかなりおもろい。 けど今の俺は笑えない 「え!?……あ、あのねぇ?これ、あ、じゃなくて、この子?人?はねぇ?俺とち、千聖の幼なじみの……レイだよ。」 「上は?」 「え?……あ!苗字ね!……あれ?あれ?」 相当テンパっとるらしくどうやら苗字を忘れたらしい。見かねた千聖がカムラだよと小さく言った。 「ふーん?カムラ……ね。」 カムラはいまだに俺を睨んどる こいつがキレとる理由も分かっとるけどわざとため息混じりに言ったろかな。 「何がそんなに気に食わん? 俺、何もしてないやん?」 カムラはチラッと千聖を見た。 「……僕にはね?」 こいつ、俺と同じ人種やし、多分同じ。 「んー?そやね。 カムラとは何や仲良う出来んみたいや」 そう言ったら、カムラは鼻で笑って、 「する気はないだろ?ふたりとも。」 ふふ、よーわかっとるやん? 同感やわ。

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