29 / 108

なんで……?

何がどうなってる……? 2人に置いてかれて、戻ってきたと思ったら、礼に俺らが信用出来ない?っていわれた。 悲しそうな顔で。でも礼にも優斗にも心配かけたくないし。 礼は俺の首らへんを見ていて確か朝に鏡で確認した時に、か、噛みあとの1部が隠れてなかったから多分それだとおもう。 で、何がどうなってか 「する気はないだろ?ふたりとも。」 奏と礼がこうなっていた。2人は結構息が合うかなと思ってたけど、どうやら違ったらしい チラッと優斗を見る。こーゆー喧嘩的なのを鎮めるのは優斗の専売特許だ。 見えたのはまぁまぁおふたりさん!そーゆーことぉ言えるなんて仲いーじゃん?……なんていつものように仲裁する優斗ではなく、顔をクシャクシャにして今にも泣きそうな優斗だった……。とりあえず見なかったことにする。 「千聖。ちょとよか?」 いきなり声をかけられて少しビクッとなってしまった。慌てて奏を見る。一見ニコッと笑ってる様に見えるが実際は違う。多分角度的に俺にしか見えないけど目がほんとに全く笑ってない 「……え?」 「ちょっと、付き合ってぇな?」 「……あ、ああ。」 優斗はともかく、礼が行くなと言うけど。 ごめん、礼。ぶっちゃけ怖い。 何か行かなかったら怖いとおもうんだ。 礼に悪いと謝って奏と教室を出る …………。おい。奏。そんな笑顔で礼に手を振るんじゃないよ。礼がかつてないくらいキレてるだろうが。 教室を出てから奏は無言だった。 俺も何も言えずに、ただ奏について行く。 電車に乗ってあの規則的な揺れを感じる 何かこの感じ、…………あの時と一緒だ。 不安にあって奏を見上げる。平日の昼間で人はまばらだが俺たちはドアの所に立っていた。 奏は腕を組んで外を見ている。 「……奏。……どこ行くんだ?」 スっと奏が視線を向ける。けどまたすぐ外を見た。ドッドッと心臓が痛い。爪先を見ながらそれを感じる。握りしめた手が汗ばむのが分かる シューと言う音と共に奏に腕を引かれる、 「ちょっ!まっ!奏!痛いから!!」 奏には届いてないみたいで、ずんずん進んでいく。抵抗なんて無意味で周りの人の視線で配慮したのは俺の方だった。 そして着いてしまった。指紋で中に入って、5階まで行く。 バタンと扉が閉まる音がやけにゆっくりで大きく感じる。それと同じくらい心臓の鼓動も大きく、でもそれとは逆に速くなっていく。 「……か、なで?」 声を絞り出す。振り向いた奏は俺の腕を離して俺の顔の方に手を伸ばした。 「っ!あ、やっ!」 顔を覆うように手を重ねる、けど思ってた感覚は無くて変わりに音がした ガチャ 「……か、かなで?」 「優しくなんてやっぱ出来んわ。」 ……なんで? 謝ってくれたじゃん。ごめんって。どうかしてたって。…………なのに、なんで? 俺は奏に無理やりベットに括りつけられて 抵抗も言葉も意味無く、昨日のようにただただ耐えるしか方法は無かった。 痛い。体も裏切られた心も。ただ痛い。 途中の事なんて覚えてない。 奏が俺に何か聞いていたようにも、俺を責めていたようにも、謝っていたようにもおもう。 あと、好きだと言われたようにも……。

ともだちにシェアしよう!