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なんで……?
何がどうなってる……?
2人に置いてかれて、戻ってきたと思ったら、礼に俺らが信用出来ない?っていわれた。
悲しそうな顔で。でも礼にも優斗にも心配かけたくないし。
礼は俺の首らへんを見ていて確か朝に鏡で確認した時に、か、噛みあとの1部が隠れてなかったから多分それだとおもう。
で、何がどうなってか
「する気はないだろ?ふたりとも。」
奏と礼がこうなっていた。2人は結構息が合うかなと思ってたけど、どうやら違ったらしい
チラッと優斗を見る。こーゆー喧嘩的なのを鎮めるのは優斗の専売特許だ。
見えたのはまぁまぁおふたりさん!そーゆーことぉ言えるなんて仲いーじゃん?……なんていつものように仲裁する優斗ではなく、顔をクシャクシャにして今にも泣きそうな優斗だった……。とりあえず見なかったことにする。
「千聖。ちょとよか?」
いきなり声をかけられて少しビクッとなってしまった。慌てて奏を見る。一見ニコッと笑ってる様に見えるが実際は違う。多分角度的に俺にしか見えないけど目がほんとに全く笑ってない
「……え?」
「ちょっと、付き合ってぇな?」
「……あ、ああ。」
優斗はともかく、礼が行くなと言うけど。
ごめん、礼。ぶっちゃけ怖い。
何か行かなかったら怖いとおもうんだ。
礼に悪いと謝って奏と教室を出る
…………。おい。奏。そんな笑顔で礼に手を振るんじゃないよ。礼がかつてないくらいキレてるだろうが。
教室を出てから奏は無言だった。
俺も何も言えずに、ただ奏について行く。
電車に乗ってあの規則的な揺れを感じる
何かこの感じ、…………あの時と一緒だ。
不安にあって奏を見上げる。平日の昼間で人はまばらだが俺たちはドアの所に立っていた。
奏は腕を組んで外を見ている。
「……奏。……どこ行くんだ?」
スっと奏が視線を向ける。けどまたすぐ外を見た。ドッドッと心臓が痛い。爪先を見ながらそれを感じる。握りしめた手が汗ばむのが分かる
シューと言う音と共に奏に腕を引かれる、
「ちょっ!まっ!奏!痛いから!!」
奏には届いてないみたいで、ずんずん進んでいく。抵抗なんて無意味で周りの人の視線で配慮したのは俺の方だった。
そして着いてしまった。指紋で中に入って、5階まで行く。
バタンと扉が閉まる音がやけにゆっくりで大きく感じる。それと同じくらい心臓の鼓動も大きく、でもそれとは逆に速くなっていく。
「……か、なで?」
声を絞り出す。振り向いた奏は俺の腕を離して俺の顔の方に手を伸ばした。
「っ!あ、やっ!」
顔を覆うように手を重ねる、けど思ってた感覚は無くて変わりに音がした
ガチャ
「……か、かなで?」
「優しくなんてやっぱ出来んわ。」
……なんで?
謝ってくれたじゃん。ごめんって。どうかしてたって。…………なのに、なんで?
俺は奏に無理やりベットに括りつけられて
抵抗も言葉も意味無く、昨日のようにただただ耐えるしか方法は無かった。
痛い。体も裏切られた心も。ただ痛い。
途中の事なんて覚えてない。
奏が俺に何か聞いていたようにも、俺を責めていたようにも、謝っていたようにもおもう。
あと、好きだと言われたようにも……。
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