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幼稚で臆病

「……。それで?何なん?」 そんなこと言われんかて分かっとる。 千聖はそんな奴じゃない。分かっているのに 「「はぁ?」」 「やけんがら、お前らが俺を許さんけん何?それで?なんが変わると?」 気持ちでぶつかればええなんて、浅はかすぎる。気持ちでどうにもならん事だってある。 「…………」 優斗、今までで1番アホみたいな顔しとる 「…………そうだな。僕らが許さなくたって何も変わんないかもしれない。僕らは千聖の側に居ることは出来ても、お前の事で傷つくのを見てることしか出来ない。」 許さんとか言って殴ってきそーなんに。 意外と冷静やな。 「俺が千聖を傷つけても何も言わんち?」 「そーじゃない!! …………千聖は傷つけられたって思っても僕達には話さない。それがお前を守ることだって思ってるからだ。きっと僕らが何を聞いたってお前が不利になることを言わない。どーでもいい相手じゃない。お前だから言わない。だって。 そうじゃなきゃ、お前の事僕らは認めないだ ろ?……千聖はお前がほんとに好きだよ。」 「……何で分かる」 「僕が千聖を好きだから。 そんな風に千聖を見てきたから。 ほんとにお前が好きなんだって分かる。 お前が僕なら良かったのに。」 予鈴がなると同時に重なった言葉はよく聞こえんかった。背を向けて歩く姿は今にも噛みつきそうな勢いを纏っていた今までとはちごうて、今にも消え入りそうな寂しさを纏っていた。 優斗がトットットと俺のところに来る。 「奏。俺達は千聖に幸せでいて欲しいから 本当は俺も礼も奏を許さないとかじゃなくて、千聖の為に何も出来ない自分が許せないんだ。だから、千聖を好きなら守ってあげてよ …………千聖を好きなんでしょ?」 そう言って優斗もどっか行く 1人になって、俺もようやく歩き出した 正直、心を動かされた訳でもないし、全て信じようと思った訳でもない。 人任せやんって思う部分もあった。 でも、自分の想いが届かなくても千聖を幸せにしたいと思うとる気持ちも、自分が出来ないから悔しいと思う気持ちも、誰かの為に一生懸命になる姿も 俺が逃げてきたもんやから、少し羨ましいって思うとこがあるのもほんとやった。 それにやっぱり千聖に会いたくなる。 何でなんかはよー分からんけど、歩くのを止められない。走るまでに行かないのは俺が幼稚で臆病やから……なんやろうな。

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