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女子>男=千聖
4月もあと少し、学校のシステムや授業内容にも慣れてきた頃。ひとつ困った事が起こった。
「奏くぅーん!」
帰り支度を始めると瞬く間に隣には女子の群れが出来ていた。
Bクラに留まらず、他クラスからも絶大な人気を誇る奏は毎日女子から囲まれていて、遊びに行こうと誘われ続けていた。中にはもちろん告白してくる人がいて奏自身かなり面倒がってはいたんだけど、正直、女子は苦手だし。人事だった。可愛い女子が体を擦り付けたり、ニッコリ笑ったりする度にチクっと胸が痛むけど。
奏の返事はいつも、んー?とか今日は忙しかっちゃんね~とか忘れた~とかだから。まぁその、安心してる。
そう、安心して、たのに。
奏は遂に面倒くさくなってしまったらしい。
「奏くぅ~ん、今日こそ遊びにいこーよー」
「んー。でも俺付き合っとる奴おるし」
『え"!?』
見事に教室の空気がシンクロする
諦めかけていた男子は生気を取り戻し、
奏を狙っていた女子は驚きを隠せない。
「まじか!村主の奴彼女いるって!!」
「このクラス可愛い子多いのに終わってたもんな~。よっしゃ!」
「まじかよ、早く言えよ~」
「てか、誰だろーな」
「え!?誰ー???」
「いつから!?」
「この前いたことないって!」
「えぇー、嘘でしょ~」
え?あいつなんて言った!?
え??付き合ってるって俺?俺の事だよな?…………ここで!?!?!?
「ねぇ!誰!?」
リーダー格の女子……確か、田中カレンさん?が奏に詰め寄って聞く。
「ち、」
ちょっと待てーーーー!!!!!!!
「奏!!!せ、先生が呼んでたぞ!!」
そう言って、奏の手を取り、教室を飛び出した。教室はまだまだザワザワしていて、余計に心臓の鼓動が速くなる。
「先生って?誰?」
夢中になって歩いていると奏に声をかけられて我に返った。微妙に時間が過ぎた放課後ということもあって人はいなくて安心する。というか咄嗟に握ってしまっていた奏の腕を捨てるように離す。
「おまえ!何言ってんだよ!!」
「ん?だから呼んどる先生って」
「じゃなくて!!その、つ、付き合ってる人がいるって!」
奏は訳が分からないというように首を傾げる
「ん?千聖と付き合っとるやん?」
「普通!言わないだろ!!」
「なんで?」
「俺、男だぞ!!」
「知っとるけど?」
「男は男と普通は付き合わないだろ!」
「あー、そーゆーの気にするん」
「するよ!」
するに決まってるだろ
だいたい、俺なんかと付き合ってるって言ったら奏が……。
………………。
二人の間に沈黙が流れる。
ちっさい人間だって思われたかな?
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