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チカちゃんですか? いいえ、ちはなです。

「え、まずい。」 「なした?」 またしても学校だからとマナーモードにしていたスマホを見る。動けなかったり、放心状態だったせいもあって今久しぶりに開いたんだけど着信とメールの量が酷い。特に、 母さん。 デジャブ。 「…………かけたくない。」 「……いや。でもかけてみらんと。」 だよな……。またか。 奏も心無しか緊張した面持ちになっていて、きっとこの前のを思い出しているんだろう。この前は上手くごまかせたけど今日はそんな簡単にいかない自信がある。 携帯をタップするのにかなりの時間を要した なんて言おう。何て言ったらいいんだろう。 何言っても無駄な気がするのは何でだろう。 しばらくスマホを見つめる。 意を決して、言うことは決まってないけどどうせ言わせてはくれないから電話をかける。 やっぱり2コールで出る。 だから速いんだって。距離あんのに。 「あ、もしも」 「あ、千聖!!携帯壊したんやって??もう治ったとね!?」 「……へ?」 携帯壊した?誰が?俺が?いつ? 「優君がしばらく連絡つかんよーって教えてくれてん。」 優斗!! 「え、あ、うん。そーなんよ。で今なおして貰って、」 「そやったら良かった。優君に色々聞いてしつこかったかもしれんし、謝っとってね~ あ!ちゃんと食べやんよ~またね!」 プツっと電話が切れる。 だから、嵐かよ。 でも優斗のお陰で被害は最小限だった。 あの母さんを説得するなんて…………優斗まじ神。色々手を回すために頑張ってくれたであろう優斗を思うと感謝だ。 母さんからの着信量のせいで全然気づかなかった優斗のメールを見ると、千花ちゃんに千聖と連絡つかん言い訳してるから、後はそっちで合わせてくれという旨の内容のメールが来ていた。 優斗……。ありがと。と心の中で叫ぶ。 「…………チカちゃん?」 優斗からのメールを覗き込んだ奏が若干不機嫌に聞いてくる。 「ちはな、だよ。俺の母さん千花って言うんだ。優斗は昔から千花ちゃんって呼んでるんだよ。てか、母さんが呼ばせてる。」 「ふーん。」 ぼふっとソファにもたれかかる奏はやっぱりどこか不機嫌そうで。 「何怒ってんの?」 そっぽを向いてしまった奏に話しかける 「別に。」 奏の柔らかい髪を撫でてみる てか綺麗な髪だと思ってたけどサラサラでほんといい髪だなー。 「……何?」 「ふふ、奏だってこれから母さんを千花ちゃんって呼ぶようになるんだよ」 会えばそうなるのは確実だし。 奏はキョトンとして、俺を見る。そして 「……ぶっ、……ククッ、ほんと千聖好き。」 吹き出して、す、好きと言った。 いきなり過ぎて、逆に戸惑う。 「なっ!は!?」 全体的に温度が上がる。 あたふたしていると、髪を撫でていた手を取られてチュッと軽くキスされる。 「好きやもん。千聖は?」 「う、…………す、…………き、だよ。」 「知っとるー」 ニッコリと秀麗に笑う奏 きっとこれから振り回されるんだろうな きっと……いや、確実に。

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